2010-01-01から1年間の記事一覧

徐々にブログの書き方を忘れつつあるので、リハビリとして身辺雑記的なことを少し。 GWは部屋に引きこもり、書類や研究報告の原稿などを書いていました。ブログを書くのとは勝手が違う……というのは当たり前なんですけど、研究計画書のような書類でも、ついブ…

書類書いたり原稿書いたり、レジュメ読んだり酒を飲んだりで超インドアなGWを過ごしてしまいましたが、割と元気です。とりあえず忙しさの峠は越えたようなので、近日中に更新を再開します。

『キラ☆キラ』論(2)―批判精神の行方

キラ☆キラ出版社/メーカー: OVERDRIVE発売日: 2007/11/22メディア: DVD購入: 7人 クリック: 288回この商品を含むブログ (63件) を見る前回の記事を書いた後、何でこう麻枝准のシナリオはいけ好かないのだろう、ということを考えていた。もちろんそれは主観的…

『キラ☆キラ』論(1)―敗北の経験について

キラ☆キラ出版社/メーカー: OVERDRIVE発売日: 2007/11/22メディア: DVD購入: 7人 クリック: 288回この商品を含むブログ (63件) を見る「ミネルヴァの梟は黄昏に飛び立つ」というヘーゲルの言葉はあまりに有名である。ひとつのものが完成し、崩壊し始めるとき…

2010年年明けに始まったアニメは、タイトルが『!』で終わる作品が妙に多かった気がします! そんなことを考えているうちに、大学院2年目に突入しました。いわゆるM2(「マイナス2」の略)(何が?)(……人間力、とか)。 京都国立近代美術館で開催中の「とある…

機能としての政治・文学

少し前に『日本SF精神史』という本を読んだのですが、その中に、尾崎行雄や加藤弘之のような教科書に名前の載っている有名な政治家・啓蒙思想家が明治時代はSF小説家だった、という話が書いてありました。別に読者を楽しませるのが目的なのではなく、小…

『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』についての雑感

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 1【完全生産限定版】 [Blu-ray]出版社/メーカー: アニプレックス発売日: 2010/03/24メディア: Blu-ray購入: 2人 クリック: 222回この商品を含むブログ (85件) を見る神戸守監督作品ときいて、『エルフェンリート』が好きで好きでしかたな…

倉田百三『愛と認識との出発』(1921年)―社会と人間の発見

愛と認識との出発 (岩波文庫)作者: 倉田百三出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/10/16メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 13回この商品を含むブログ (11件) を見る 例えば大野の黎明に真白い花のぱッと目覚めて咲いたように、私らが初めて因襲と伝説とか…

東京都の条例問題に端を発する表現規制に関する議論が活発に行われていますが、2年前に『School Days』の最終回が放送を自粛した際の「こんなグロい作品は自粛して当然」みたいな論調はどこに行ってしまったのだろう、エロはいいけどグロは駄目なのか、それ…

『アトラク=ナクア』についての雑感

アトラク=ナクア 廉価版出版社/メーカー: アリスソフト発売日: 2000/09/14メディア: CD-ROM購入: 11人 クリック: 48回この商品を含むブログ (27件) を見る 黄色と、黒と、白と、赤。 毒々しい斑の情景を織り成しに、絹のような女が人海に住まう。 女は何尺も…

専門家とアマチュア

1. 最近『長谷川如是閑集』を読んでいるのだけど、在野思想家である如是閑の「アマチュアであること」に対する考えが伺える、ちょっと面白い文章があった。第8巻の月報から引用。執筆者は本田創造。 それからしばらくして、私はまた如是閑に会いに行った。…

『最果てのイマ』論(補遺)―作家の亡霊の行方、あるいは対話の効用について

一連の『イマ』論は再編集のうえでthen-d氏企画のシナリオライタ論集に寄稿することになりそうなのですが、正直に言うと、その企画を半年ほど前に聞いたときは「いま作家論をやる意義があるのか?」と思いました。ロラン・バルトが「作者の死」を宣言してか…

『最果てのイマ』論(5)―異質性という絆

最果てのイマ出版社/メーカー: ザウス【純米】メディア: CD-ROM購入: 4人 クリック: 172回この商品を含むブログ (42件) を見る(承前) 「私」は傷つきやすく、他者とのコミュニケーションの主体として成立しようとした瞬間に、ほころび始めてしまう。私にとっ…

『最果てのイマ』論(4)―トラウマをめぐって

最果てのイマ出版社/メーカー: ザウス【純米】メディア: CD-ROM購入: 4人 クリック: 172回この商品を含むブログ (42件) を見る(承前) デリダの言うように他者を「歓待」することが、他者を言語の通じない異邦人、狂人とみなすことから出発するのだとすれば、…

表現者と知識人

『最果てのイマ』論(4)をお待ちの方は申し訳ありません。現在風邪でくたばっています。 代わりといっては何ですが、某所で表題の件について簡単な報告した際のレジュメを転載して、お茶を濁すことにします。重要な部分だけ引用するので前後の文脈が繋がって…

『最果てのイマ』論(3)―社会変革の可能性

最果てのイマ出版社/メーカー: ザウス【純米】メディア: CD-ROM購入: 4人 クリック: 172回この商品を含むブログ (42件) を見る(承前) このシリーズは「思いついたことをその都度書く」という確固とした方針に基づいて書いているので、少し脱線して、今回は田…

『最果てのイマ』論(2)―否定としての他者

最果てのイマ出版社/メーカー: ザウス【純米】メディア: CD-ROM購入: 4人 クリック: 172回この商品を含むブログ (42件) を見る(承前) 『イマ』の主要なテーマが(エピローグで主人公自身が語っているように)他者の問題であることは間違いない。だが、そもそも…

『最果てのイマ』論(1)―ためらいながら、他者を語る

最果てのイマ出版社/メーカー: ザウス【純米】メディア: CD-ROM購入: 4人 クリック: 172回この商品を含むブログ (42件) を見るブログの編集画面を開きながら、さて『最果てのイマ』について何を書こうかと考えている自分が酷く滑稽に思える。この作品を読ま…

『涼宮ハルヒの消失』についての雑感

近所の映画館で観てきました。観ようかどうか迷ってる……という人は観にいきましょう。座席数が少なかったりスクリーンが小さかったり観客のマナーが悪かったりしましたが、それでもなお、2時間40分を短いと思えるくらい濃厚な時間をすごすことができました…

太宰治『斜陽』

斜陽 他1篇 (岩波文庫)作者: 太宰治出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1988/05/16メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (12件) を見る 私は確信したい。人間は恋と革命のために生まれてきたのだ。 −本書58頁− 戦争を経て没落した華族…

先々週から可能な限りの時間で『最果てのイマ』を読んでいました。先ほど最後まで読み終えたのですが、それでわかったことがひとつ。僕は盛大に誤読していた、と。そんなわけでもう一度最初から読み直しです。記事にするまで更に数日から一週間ほどかかりそ…

戦前日本の植民地支配について考えるためのブックガイド

僕の師匠が言っていたことですが、欧米のポストコロニアル理論についての本は積極的に邦訳されて実際に読まれているけれど、韓国の学者がポストコロニアル理論を用いて書いた本はなかなか邦訳されない。なぜかと言えば、スピヴァクやサイードが攻撃している…

現代の天皇制について

上の記事で天皇制に触れたついでに、それについての僕のスタンスを少し書いておきます(まだ書いたことなかったはず)。 将来的に天皇制を廃止する方向を目指したいが、天皇の戦争責任だとか宮内庁の役人がどうこう、という理由で合意を形成するのは難しいだろ…

宗教をどう描くか

パソコンの修理で結構な出費があったので、ついでにエロゲも買ってしまいました(意味不明)。だいぶ前に発売されたアトリエかぐや『夏神』というやつ。くだらない内容であることを実は期待していたのですが、期待に反してまっとうな伝奇SFだったことに困惑気…

J.J.ルソー『告白』についての覚え書き

告白〈上〉 (1965年) (岩波文庫)作者: ルソー,桑原武夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1965/03/16メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (1件) を見る・神の栄光をたたえることを主眼としたアウグスティヌス『告白』に対し、ルソーは「自我の…

[業務(?)連絡と雑記

意外と安くパソコンが修理できてしまったので「来週も地獄に付き合ってもらう!」。ウドのコーヒーは苦い。あー、あと某ニュースサイト(?)の人、大量にトラックバックを送るのは鬱陶しいからやめましょうね。

小島あきら『まなびや』『わ!』

まなびや 1 (ガンガンコミックスJOKER)作者: 小島あきら出版社/メーカー: スクウェア・エニックス発売日: 2009/10/22メディア: コミック購入: 1人 クリック: 72回この商品を含むブログ (58件) を見るわ! 1 (ガンガンコミックスONLINE)作者: 小島あきら出版社…

カール・シュミット『現代議会主義の精神史的地位』

現代議会主義の精神史的地位 (みすずライブラリー)作者: カールシュミット,Carl Schmitt,稲葉素之出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2000/09メディア: 単行本 クリック: 37回この商品を含むブログ (5件) を見る専門の方では社会多元主義に最近関心があって…

・先日の雑記で「今年は厄年だというからお祓いを受けたけど、厄年なんて誰も信じてないよなぁ」という話を書きましたが、年が明けて一週間目の昨日、パソコンがお亡くなりになりました。カスタマーセンターに電話をして修理費の見積もりを出してもらったと…

謹賀新年

今年は厄年だということで、元日の朝5時から神社まで行き、お祓いを受けるということに僕の知らない間に決まっていたので、不承不承実家に帰っていました。そういう風に決めた僕の親も、僕自身も、あるいは神主でさえもお祓いの効用なんて信じていないのか…