日本史

伊藤博文は死の間際に「馬鹿な奴だ」と言ったのか?

明治42年(1909年)10月、ロシア帝国蔵相ウラジーミル・ココツェフ(ココフツォフ)と満州・朝鮮問題について非公式に話し合うため訪れたハルビン駅で、大韓帝国の民族運動家・安重根によって射殺された。このとき伊藤は「3発あたった。相手は誰だ」と叫んだ…

西郷従道に関する挿話

前年川村純義伯の邸に、主上の臨御あり。文武百官皆招がる。此日、〔西郷従道〕侯の隣席に後藤〔象二郎〕伯あり。偶々椅子を離れて起立す。侯竊(ひそか)に其椅子を他に移して知らざる為す。果然伯は無意識に復席して痛く尻餅を突きぬ。侯手を打って笑って曰…

大正期の社会と社会科学(6)−社会科学者、相対性理論と出会う

社会や国家を論じるときには、自然科学のような厳密さをもって臨まなければならない。いや、むしろ、自然科学と同じ方法で社会や国家も論じなければならない――このような発想は、現在ではあまり人気がありませんが、少なくとも明治から大正にかけては常識的…

いわゆる「鎖国」について

以前、ロナルド・トビ『「鎖国」という外交』を本屋で見かけたときは、上手いこと言うなぁと感心したものでした。「鎖国」という外交 (全集 日本の歴史 9)作者: ロナルドトビ出版社/メーカー: 小学館発売日: 2008/08/26メディア: ハードカバー クリック: 46…

社会/「社会」/社会的なもの

『社会思想史研究』の最新号で「<社会的なもの>の概念 再考」という特集が組まれていたので、その中の何本かの論文を読みました。「社会的なもの」って最近よく耳にしますが、よくわからない。出所はよくわかりませんが、広めたのは市野川容孝『社会』でし…

「社会」概念の歴史に関するメモ

最終更新2014/10/5 ざっくりした通史 http://togetter.com/li/527959 大正時代の「社会の発見」について以前書いたもの http://d.hatena.ne.jp/tukinoha/20110128/p1 大正時代の分は以下に移行。 http://d.hatena.ne.jp/tukinoha/10000109 【方法について】 …

日本精神治療小史‐京都・岩倉村を題材に‐

近代の世界史をきわめて巨視的に捉えるならば、西ヨーロッパ発の産業革命・市民革命が世界的な広がりを見せ、全世界が資本主義・国民国家という均一のシステムに覆われる過程である、ということが出来るだろう。もちろん事実上存在する国々は、それぞれの歴…

萱野稔人『国家とはなにか』

『国家とはなにか』作者: 萱野稔人出版社/メーカー: 以文社発売日: 2005/06/17メディア: 単行本購入: 12人 クリック: 142回この商品を含むブログ (118件) を見る整合性のとれた美しい論理で書かれた、これから国家を語る上で必読と言える一冊である。ただ、…

栄沢幸二『「大東亜共栄圏」の思想』1995.12

この世に「正しい戦争」というものは存在しないが、だからといって全ての戦争が等しく悲惨で救いがないというわけではない。正しくはないが避けられない戦争というものがあり、また、戦争によって人々が多少はマシな状態になることがあるのも確かだ。戦争が…

片山杜秀『近代日本の右翼思想』

近代日本の右翼思想 (講談社選書メチエ)作者: 片山杜秀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/09/11メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 210回この商品を含むブログ (43件) を見る日露戦争後から第二次大戦までの右翼思想を包括的に扱おうと試みた、意欲的…