2014-01-01から1年間の記事一覧

そろそろ「従軍慰安婦」問題について一言いっておくか

屋上屋を架すつもりはないので、最近話題の論点からはやや外れた部分について書きます。「一言」といっておきながら全然ひとことで終わらないのはお約束ということで。 1.国家間の問題?被害者はどこにいった? 90年代における「アジア国民平和基金」が挺…

幕末の借金を大正に取り立てる

「道義埋没の塚△浅野候を相手取る」(『万朝報』1914年4月30日) 和田某という人物の祖父は元郡山藩の納戸役(会計掛)をつとめ、のちに大阪へ出て商人となり巨万の富を得た。彼はその後、芸州藩(浅野家)の御用商人となったのだが、慶応三年の師走、当時は藩主の…

活動弁士(活弁)について

「女給生活」(『北陸タイムス』1914年4月23日) 活動弁士のキャリアステップと待遇について。富山県の映画館を念頭においた記事。 今茲に弁士にならうと云ふ者があるとすると先づ見習として実際舞台に立ち乍(なが)ら主任弁士其他の訓陶を受けるのであるが、そ…

近松秋江「博覧会見物」(『読売新聞』1914年4月12日) 当時東京で開催されていた大正博覧会の観覧記。著者の近松秋江は小説家・評論家。一応wikipediaにも記事があるので、有名なのだろうか。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BF%91%E6%9D%BE%E7%A7%8B%E6%B…

「清浦子爵大命拝受」(『読売新聞』1914年4月1日) 第1次山本権兵衛内閣がシーメンス事件によって総辞職に追い込まれたのち、元老会議は貴族院議長の徳川家達を推薦。しかし家達はこれを辞退したため、元老会議は3月30日に枢密院議長の清浦圭吾を推薦した。31…

「元老会議七時間に亘る」(『大阪時事新報』1914年3月28日)「牡丹の間に嘆息の三老人」(『東京日日新聞』同日) ジーメンス事件により第1次山本権兵衛内閣が総辞職したのが3月24日。その翌々日の3月26日には、後継の総理大臣について協議するための元老会議が…

「全国記者連合会」(『大阪朝日新聞』1914年3月24日) 3月22日に築地精養軒で開催された全国連合在京記者大会についての記事。この大会では山本権兵衛内閣の辞職を求める決議文が採択されている。興味深いのは決議文の以下の一節である。 後継内閣の組織は憲…

「発声写真の失敗 神田館のはクロノホン」(『小樽新聞』1914年3月23日) 札幌の映画館「神田館」では横浜から発声写真機(=発声映画=トーキー)を取り寄せ、特別興業を行う予定であった。しかし取り寄せた発声写真機は、エジソン発明の「キネトホン」であるは…

出久根達郎『雑誌倶楽部』

私は雑誌が好きだ。本よりも断然雑誌派である。飽きっぽい私にとって、雑誌はいろいろ書いてあるところが良い。ひとつの記事を読んでいて、おもしろくなければ次の記事、次の記事、と飛ばし読みすることができる。雑誌はすぐ手に入らなくなってしまうが、そ…

「女学生の新しい心理傾向 夫婦共稼ぎといふ覚悟」(『東京日日新聞』1914年3月20日) 記事では学校名が伏せられているが、成女高等女学校の校長・宮田修へのインタビュー記事。最近の女子学生について、宮田は次のように述べている。教育者から見た当時の女学…

「亭主は半陰陽 同性の婚姻は無効」(『新愛知』1914年3月18日) 半陰陽は両性具有、インターセックスとも呼ばれる。詳細はwikipediaを参照。 半陰陽 - Wikipedia 三重県の財産家・某氏は結婚しており息子もいたのだが、某氏が男女両性であると噂されていた。…

「社会問題と貧富の懸隔(上・下)」(『愛媛新報』1914年3月17日) 執筆者は早稲田大学教授の永井柳太郎。永井はのちに政界入りし、民政党親軍派の中心人物として大政翼賛会の結成にもかかわった。この記事で永井は、「現代の文明」のもとで国富が著しく増大し…

「秋田県の大地震」(『東京朝日新聞』1914年3月16日) 出来事の概要については秋田仙北地震 - Wikipediaを参照。 地震が起こったのは3月15日。翌日の報道では死者45名、家屋全壊251棟。さらにその翌日(17日)には死者83名に増えています(最終的には94名)。これ…

‎久住昌之・谷口ジロー『孤独のグルメ』

孤独のグルメ (扶桑社文庫)作者: 久住昌之,谷口ジロー出版社/メーカー: 扶桑社発売日: 2000/02/01メディア: 文庫購入: 44人 クリック: 388回この商品を含むブログ (377件) を見る本棚に『孤独のグルメ』を置いているサブカル野郎は高確率で『ジョジョ』が好…

「村田翁の演説 首相を痛罵して余念なし」(『東京朝日新聞』1914年3月15日) シーメンス事件の関連記事。3月13日の貴族院本会議速記録からの転載である。演説をしているのは元水産官僚・貴族院議員の村田保。趣旨としては政府批判、与党政友会批判であるが、…

「大正博の美人国」(『東京日日新聞』1914年3月13日) 安田雅彦によると、大正の15年間で合計116回の博覧会が開かれている。1914年の3月20日から7月31日まで開かれた東京大正博覧会はその中でも特に有名なものであるが、「自由・平和が協調〔ママ〕され産業博…

「内閣弾劾演説会」(『大阪朝日新聞』1914年3月12日) シーメンス事件を直接のきっかけとしているのだろうが、当時の山本権兵衛首相、原敬内務大臣に対するほぼ全面的な批判が述べられている。実際に演説会が行われたのは3月10日。複数の人物が演説しているの…

長谷川哲也『ナポレオン 覇道進撃』

ナポレオン~覇道進撃~ 6 (ヤングキングコミックス)作者: 長谷川哲也出版社/メーカー: 少年画報社発売日: 2014/02/10メディア: コミックこの商品を含むブログ (3件) を見る現在連載されている歴史を題材とした漫画のなかで一番面白いのは、長谷川哲也の『ナポ…

「其後の谷中村(上・下)」(『都新聞』1914年3月11日・12日) 足尾銅山から流出した毒物が洪水によって渡良瀬川周辺地域に広がり、大きな被害を出した足尾銅山鉱毒事件の「その後」についての記事。谷中村を洪水を防ぐための貯水池にするため、居住地を買収、…

「大丸組の不正工事」(『二六新報』1914年3月10日) 要約:「土木の請負工事に不正なくんば、請負師は立行く者に非ずといふのが、彼等社会の常に口にする言葉である」。3月9日から13日にかけて『二六新報』は、土木の下請け工事において手抜き工事が常態化し…

半年ほどサボっていましたが、また書き始めることにしました。今日再開することに深い意味があるわけではないのですが、しいて言えば昨日の研究会で「昔の新聞を読まなければならない」と思ったことがきっかけでしょうか。歴史の勉強のために古い新聞を読ん…