現代の天皇制について

上の記事で天皇制に触れたついでに、それについての僕のスタンスを少し書いておきます(まだ書いたことなかったはず)。
将来的に天皇制を廃止する方向を目指したいが、天皇の戦争責任だとか宮内庁の役人がどうこう、という理由で合意を形成するのは難しいだろう、というのが大まかな考え。歴史学という因果な世界に足をつっこんでいるので、そういう方面からの批判はよく耳にするのですが、はっきり言っていまさら遅いですよね。それに、福田歓一が『デモクラシーと国民国家』所収の論文で書いていましたけど、天皇制のメリットだって挙げようと思えば結構挙げれてしまう。暴力団みたいなアウトローの人々が、反権力的ではあっても反体制的ではないのだって、たぶん天皇制の功績でしょう。天皇制を批判する学者だって、叙勲という制度を通して国家のなかに位置を与えられている。
ただ、そうやって人格をもった天皇を「利用」していいのか、ということが当然問われなくてはならないのでしょう。個人的には、安丸良夫が『近代天皇像の形成』で書いていたように、われわれが主体的に天皇制を廃止することができれば、それができるような社会になったというまさにそのことによって、我々自身も今より自由になれるのではないか、という気がしています。