「女学生の新しい心理傾向 夫婦共稼ぎといふ覚悟」(『東京日日新聞』1914年3月20日)
記事では学校名が伏せられているが、成女高等女学校の校長・宮田修へのインタビュー記事。最近の女子学生について、宮田は次のように述べている。教育者から見た当時の女学生の実態について興味深い話が続くで、半分くらい引用してしまう。

卒業後の理想に於ても従来はつまらない虚栄と云つたやうな謂はば戦争時代には軍人の妻になりたいとか、将た外交官夫人になりとか云ふやうな身分不相応な考えを持つて居ましたが、今では夫婦は共稼ぎをしなければならぬ者と云つたやうな考へを浮べるやうになりまして

青鞜社に集った「新しい女」の影響と、「新しい女」では(文筆業を仕事とした青鞜社とは異なり)生計が立てられないという認識について。

新しい女に就いてですか、夫は別に彼等所謂新しい女の平塚とか尾竹と云ふ女に対しては見習はうとはしませんが新しい考へには向つて居る様です〔中略〕現代の「新しい女」では生活が出来ないと考へて居るらしいです。

女学生間での文通について。

手紙交換の御話ですがかそれは確に女学生間にはあります。〔中略〕手紙交換の最も激しいのは三年頃です。それは少し世の中の事情でも判るやうになつて情の上にも多少の変化が来てセンチメンタルになつて来て居るから其の感情を何うにかして発表しやうと思つても自分より遠い父母とか目上の者には打明けるわけには行かないから遂に友人に打明けるやうになります。〔中略〕私の学校でも斯う云ふ事がありましたので露骨に責めずに一方倹約と云ふ意味で戒めた事もありました