「公共の場で化粧をするのは、外国では売春婦の客引きのサイン」という都市伝説について
17: ジャーマンスープレックス(SB-iPhone):2013/07/31(水) 16:56:54.26 id:yR0+anU9P
http://news.2chblog.jp/archives/51758634.html
公共の場での化粧は、外国でやると売春OKのサイン。
中国行った時、高級ホテルのロビーで化粧してた日本人観光客の集団が、従業員に注意されてたわ。
電車のなかで化粧をする女性を批判する文脈で上記の話がしばしば引用されるのですが(特にここ数年頻繁に目にします)、実際に海外で日本人女性が人前で化粧をしたとしても売春婦に見られるわけではなく、せいぜい「不作法」「行儀が悪い」と思われる程度であることはすでに複数の人が指摘しています。
この“人前で化粧”という行為は、海外では本当にそこまで意味深なものなのでしょうか?
http://news.ameba.jp/20121203-502/
丸山さんによれば、海外で日本人女性が人前で化粧をしたとしても、ネット上で言われているほど売春婦に見られるわけではないそうです。ただ、地域によっては、そう見られてしまう可能性もあるとのこと。
たとえば、タイのバンコクでは、観光客に人気の屋台と、いわゆる“色街”とが目と鼻の先ということがあります。そういう立地の屋台でうっかり化粧直しをしていると、「この女は(出勤前の)売春婦だな」と誤解されるリスクは高いといえるでしょう。
今回判明した事実をまとめておきましょう。
都市伝説の男反社会学講座ブログ
・人前や電車で化粧をする女は日本だけでなく、世界中にいる。
・海外でも大多数の人は、それをマナー違反だとみなしている。
・ただし、その理由は見苦しいから、という常識的なものであり、
・西洋では人前で化粧をするのは売春婦の客引きサインというのは、日本だけで通用する都市伝説にすぎない。
・西洋人のなかには、その都市伝説を聞くと侮辱されたと感じる人もいる。
ですから日本のみなさん、および、マナー講師のみなさんに警告します。みなさんのマナーの常識をいますぐ改めてください。
日本の若い女性が海外に行き、人前で化粧すると、まずまちがいなく軽蔑されます。しかし、売春婦と間違われたり、レイプされることはありません。尻軽女と思わせるのは、人前での化粧でなく、派手で露出の多い服装のほうでしょう。
むしろ危険なのは、日本の中高年やマナー講師のみなさんです。ヨーロッパに行って、「人前で化粧するのは売春婦」などというデタラメを得意げに口にすると、ヨーロッパの人たちは侮辱か挑発とみなすおそれがあります。袋だたきにされたり、レイプされたりしても知りませんよ。
では、いったい「海外では人前で化粧をすると売春婦だと思われる」という都市伝説はどのようにして生まれたのでしょうか?簡単に調べてみたところ、1982年に新潮社から出版されたサトウサンペイ『ドタンバのマナー』で以下の記述が確認できます。
女性で口に手を当てて笑うのは、英国ではそしり笑いととられるし、フランスでは情交関係のサインととられるそうで、外国人も増えた今日、十分気をつける必要がある。
人前での化粧やブラッシングは、美人製造工程を見せるわけで、効果的ではない。外国でやると売春婦と思われる。(p32)
- 作者: サトウサンペイ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1982/03
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ところで『ドタンバのマナー』では「女性で口に手を当てて笑う」仕草がどのような意味を持つかについて、イギリスではこう、フランスではこう、と述べているのに対し、「人前での化粧やブラッシング」については「外国でやると」と一般論のように書いています。勢いに任せて書いた、という印象。
2006年ごろに朝日新聞の「声」欄である大学教授が「外国では人前で化粧をすると売春婦だと思われる」と書いているそうなのですが(参照)、『ドタンバのマナー』を元ネタにした知識が新聞記事を通してさらに拡散し、ネットでさらに広まったのではないかと推測されます。
「人前で化粧をするのは不作法だ」と思うのは個人の自由ですが、外国でそうした人を見つけて「あ、この人は売春婦なんだ」と勘違いするとトラブルの原因になりかねません。「外国で化粧をしている日本人が売春婦と間違われた」といった話がまことしやかにささやかれたりしますが、「外国」のイメージとしても恐ろしくステレオタイプというか、普通に考えれば作り話だとわかりそうなものですが……。