『君が望む永遠』に関する雑感

最近の新番組では『夏目友人帳』が良作の雰囲気を出しているのですが、シリーズ構成の金巻兼一氏つながりで、久々にこんなの見ました。

君が望む永遠 第7巻 [DVD]

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たぶん30回くらい見ているのですが、その度にドキドキさせられる素敵な作品です。エロゲ原作のアニメから一本選ぶなら、『君が望む永遠』を置いて他にはないでしょうね。ヒロイン・涼宮遙の健気さに感動したり、決して変名を使わない栗林みな実の偉大さに感動したり、穂村さんがいないことに安心したりすれば良いと思う!
そんな話はさておき、このアニメの凄いところは、セリフと演出がこれ以上は削れないというところまで洗練されていることでしょう。特に最終話、遙が「マヤウルのおくりもの」という絵本についての話を主人公に語って聞かせるシーン。原作と、単純にセリフだけを比較すると、原作の方が圧倒的にしっかりした(文法的に正しい)日本語で話しています。ただ、それだと冗長に過ぎる。アニメ版の「〜なの」「〜なの」を繰り返す話し方のほうが臨場感があります。
演出も素晴らしくて、遙が「マヤウルのおくりもの」について話しているのと同じ時に、妹の茜も別の場所でそれを読んでいる、という設定。これはアニメオリジナルですね。遙が話している途中で、茜がぽろぽろ泣いているカットが挿入されるのですが、その瞬間、見ている僕まで泣いてしまう。傍観者にすぎない視聴者にとっての、感情移入あるいは同一化する対象として茜が描かれているのでしょう。同時にこのカットは、ゲームであればクリックする間に生まれる「タメ」の役割も果たしています。その他細かいところでは、時間帯が昼間から夕方に変更されていることとか、別れ際にカモメが飛び去っていくところなんかも良いですね。理由を話すとネタバレになるので略。
第2話も良いですけど、やはり『君が望む永遠』は最終回に尽きます。最近の作品だと『true tears』が明らかに影響を受けているようですが(設定ではなくストーリィの運び方が)、あれほどギリギリでドロドロな作品はそう滅多にお目にかかることは出来ません。そういえば、エロゲ原作でちゃんとエロやっているのも珍しいんじゃないかと。