『御先祖様万々歳!』に関する雑感
今月の『アニメーションノート』で特集が組まれていますが、今年の夏は押井守『スカイ・クロラ』や川尻善昭『ハイランダー』などベテラン監督の作品が多数公開されることになっているので(『ハイランダー』なんて今週末ですよ)、予習を兼ねて未視聴の有名作品をちまちまとチェックしています。7月期開始のTVアニメについては最低2話まで見てから言及することに決めているので、当分の間は上記のような作品の話をする予定。
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演出では、極端な長回しが多用されているのが特徴。というか完全に演劇ですね。キャラクタがカメラに向かって(つまり誰もいない真正面を向いて)話しかけたりしていますし、「作り話」という感覚が強調されている。『天使のたまご』もそうですが、都合のよい設定に対して何らかのエクスキューズをつけずにはいられないのが押井監督の気質なのでしょう。長回しという点では、今度公開される『スカイ・クロラ』も800〜900カット程度だという話なので、原点は案外この辺にあるのかもしれません。
ちなみに僕は『GHOST IN THE SHELL』以降の押井守作品があまり好きじゃなかったり。原作が好き過ぎるので客観的に見られないのですが、何で裸になる必要があるのか、とか、少佐が真面目すぎる、とか色々文句を言いたいところもあるわけです。原作の少佐は「へへーん」なんて言っちゃうような茶目っ気のある人ですよ?
閑話休題。『御先祖様』を語る上で、全話の作画監督を務めている、うつのみやさとる(全部平仮名だと読み辛い)の話は避けて通れないかと思われます。例えば第1話、黒い背景と緑のドアの前で主人公の四方田犬丸(某評論家のもじり)が長広舌をふるうシーン。ここ、動きのリアリティもさることながら、影の付け方が非常に面白い。光源の位置が特定できるような付け方がされている。前者はみんな真似しているのでそれほど新しく感じないのですが(『ef』の第7話でも、影絵の蓮治がじたばた動くシーンがありましたね)、後者は今見ても結構独自の表現かもしれません。関節を異常に強調するマリオネットのようなキャラクタデザインも「舞台的」という印象を強めています。
発売当初は評判が悪かったと聞きますが、うーん、貶すべき点が特に思いつきません。