『しゅごキャラ!』第40話「りま!こころのアンロック!」に関する雑感
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前回の記事でも書きましたが、『しゅごキャラ!』では重要な場面において上のような、強くコード化された構図が現れます。消失線とキャラクタの陰影によって、画面全体の構成的、複合的な印象を強めています。ほとんどの作品と同じく『しゅごキャラ!』も光源の位置やそれによる陰影の変化にはさほど注意をはらっていないのですが(今回の話では、夜中に街灯の側に立っていても影は真下に落ちている)、こういった場面でのみそれが意識される、ということは何らかの意図があると考えるべきでしょう。
ディープフォーカスの使用や陰影をはっきり描くことといった「現実らしい」描写は、逆にその象徴的・構成的な印象を強めます。細田守監督はキャラクタを生きた存在として描くために影をつけないそうですが、おそらく上のような理由からではないかと思われます。
さて、今回の重要なモチーフは「走ること」でした。初登場のBGMに合わせてりま様が走るシーンでは、家を飛び出した彼女の解放感が良く伝わってきます。ところでこのとき、りま様は左側(舞台で言えば下手)から現れるのですが、それよりも少し前、あむが走っているシーンでは右側(上手)から現れ、次に画面の正面に向かって走っています。
事件の起こっている現場にあむが駆けつけようとしているシーンでは、強いもの・圧迫感のあるものが置かれることの多い上手から。逆に、りま様の解放感を強調したいシーンでは下手から、という使い分けがされているのではないかと想像。
反対に、りま様が両親と家に帰るシーンではとぼとぼと歩いて帰ることになります。このことからもわかるように、彼女にとっての問題が全て解決されたわけではありません。しかし、このシーンの直前に、りま様の両親と他の生徒たちの両親とが初めて一緒に描かれたことは、隠喩的ではありますが幸せな結末を予感させます。
そういえばもうひとり走っている人がいましたね。真正面に走らせて強さをアピールして、直後に「弱い!」となる。このとき「ヒロインのピンチに颯爽と登場!」とメタっぽい発言をしているのですが、そうか、自分がヒロインじゃないことを自覚しているのか……と。
さて、今回のお話は第32話から引き続き、りま様の成長を描いたものでした。第32話では、りま様の意外な側面を見て驚いたクラスメイトと、主人公のあむとの間で「あんなのりま様じゃない!」「りまだよ!……あれもりまだよ」というやり取りがありましたが、今回はそれがりま様自身によって反復されたことになります。
「お迎えがなくったって、ひとりで帰れる。家の中に閉じ込めようとしないで。
この家の外にだって、私の……私の世界がある!」
このとき、俯いていた顔を上げてまっすぐ両親を見るのですが、これも第32話のラストシーンの繰り返しになっています。お迎えの車の中で星空を見上げたのは、次に両親とまっすぐ向き合うための予行演習だった……というのは強引な解釈でしょうか。
それと、あむは3つのしゅごキャラのうちどれとキャラなりしても(大抵はアミュレットハートですが)、やることはほとんど変わらないですよね。むしろ、どうやって選んでいるのかが気になります。そういえば今週は珍しく複数人での戦闘でしたが、誰もコスチュームの色が被っていませんでした。もしかして、そういう都合?ちゃんと検証できれば良いのですが、時間がないため来週以降の課題ということで……
あと、りま様の両親は、目元のしわを強調した顔にデザインされていましたが、これは「笑っていない」ことを強調するためだったのですね。もうちょっと早く気づくべきでした。