『桃華月憚』の逆再生と物語構成について

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桃華月憚 壱 [DVD]

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TVアニメ「桃華月憚」は、全二十六話からなるストーリーを全く逆から制作しています。つまり、“初回(第一話)”として放送させて頂いた制作No.01【桜】は、「桃華月憚」の物語上では“最終回(第二十六話)”に相当する回でした。上津未原という古き土地で紡がれゆく様々な出来事と目にも鮮やかな人の心と季節の移ろいを、物語の発端(プロローグ)からではなく結末(エピローグ)から一話ずつ順に遡って“魅”せていく、TVアニメ史上初の試み、それが「桃華月憚」を構成する“逆再生(リプレイ)”というピースの一片です。

「桃華月憚」アニメ公式 制作ブログ

桃華月憚』面白いですね。
そろそろ逆順で見ようかと思っているのですが、ただ、最終話から逆順で見る(=時系列順で見る)と展開に無理があるんじゃないかと思われる部分もいくつか。先日放送された第10話なんてその最たる例で、「あんなに意味深な終わり方をしておいて、もう出番がないの?」というキャラクタも出てくるわけです。やはり、放送順に見たとき一番面白いように最適化されているようなので、今日はその辺の話を少し。
憶測ですが、「逆再生」という仕掛けを考えた人は過去にもいたでしょう。いくつかのエピソードだけ逆再生、というのなら、むしろありふれた手法だと言えます。しかし、シリーズ全体を逆再生というのは今までなかった(僕の知る限りでは)。ではどこに逆再生の困難さがあるかという話なんですが、まず第1に、終盤の盛り上がりに欠けるというのが問題になります。
通常の学園ものだと、序盤はキャラクタの顔見せ、あるいは問題提起の部分にあたるわけで、それを逆再生で終盤に持ってくるのはちょっと苦しい。最終回が幼馴染との平凡な日常シーンだったらつまらないでしょう?『桃華月憚』のスタッフはこの問題にどう対処するのか、というのが目下の関心事ではあります。
現時点で与えられている情報からの推測でしかありませんが、単発のエピソードを並列的に配置して、物語の「山場」を分散させようとしているようです。1話ずつ切り取ってみても、その中でエピソードはしっかり完結している。「話がわからないからもういいや」という気にさせないあたりはさすがですね。ビジュアルの美しさ、音楽の可笑しさ、キャラクタのはっちゃけぶりは今期のアニメの中でも随一であると思います。
しかし、並列的な話が続いているだけに、物語の大局的な流れが見えづらくなっているのも確か。世界の謎を解き明かそうと頑張っていた人も、そろそろ限界ではないでしょうか(僕の場合は、もうどうでもいいやという気分)。
それでも僕がこの作品を見続けているのは、エピソード単体の面白さと、「健全なエロス」(談:喜多村英梨。どこがだ)と、「引き」の上手さ、そして最終回への興味なんですね。本当、これほど最終回が予想できない作品も珍しいですよ。
エロに関しては、エロいというかエロエロなので評価が分かれるところでしょう。そいうのはエロゲでやれ、と。ただ僕としては、映像作品(アニメ・映画など)とは本質的にエロいものであると考えているので気にならなかったですね。
参考:『らき☆すた』第6話のお風呂シーンについて - tukinohaの絶対ブログ領域