みんな『sola』を見て幸せになれば良いと思うんだ

http://www.sola-project.com/
http://character.biglobe.ne.jp/special/sola/
http://slhakase.web.fc2.com/sola/sola.html

sola color.I (初回限定版) [DVD]

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sola』に関しては否定的な評価をあまり聞きませんが、「こんな面白いアニメがあるよ!」的な話も聞きませんね。良くも悪くも『らき☆すた』の様な「とんがった」作品とは遠いところにあると言えるでしょう。全然[sola]のタグをつける機会がない!という個人的な思いはさておき。
何についてであれ感想を書く際には、自分が重要だと思った部分についてだけ抜き出すものです。要するに自分の中で「あらすじ」を作り、それに基づいて感想を書きます。ただ、「あらすじ」はあくまでも「あらすじ」であって、「作品そのもの」ではないっていうことは自覚しておく必要があるでしょう。
風景の美しさ、光の描写、なにげない仕草、そして物語のリズム。こういった「あらすじ」に組み込まれにくい(ついでに言えば言語化しにくい)部分にこそ『sola』という作品の魅力があると僕は思います。あれですね、ゴッホでもルノワールでもモディリアーニでも誰でも良いですけど、魅力的な絵画に引き付けられる時の感動に似ているのかもしれません。
何が描かれているかが絵画の本質を決めるわけではなく、何重にも絵の具を重ねていくタッチ、ただそれだけが価値を決定するのだ、と。だから『sola』に関しても「本編を見ろ!蒼乃姉さんに萌えて燃えろ!話はそれからだ!」というのが真理なんですけど、それじゃあ身も蓋もないので話を続けましょう。
とりあえずOPを紹介。結城アイラで『colorless wind』。
http://stage6.divx.com/High-Def-MOE/video/1189376/sola-OP-1280x720
colorless wind

colorless wind

富野由悠季が言っていましたが、動きを表現するのに静止状態から始めるのはタブーとされています。それをOPの冒頭からやってしまうというのが面白いですね。何というか、こういうギクシャクした感じが作品全体を貫くリズムであると僕は思います。
物語の前半部においてはとまどい、つっかえ、唐突にオチがついてしまう「たどたどしさ」が特徴的でした。しかし物語が動き出すにつれて、流れるように紡がれていた言葉はいつのまにか上滑りし始め、場はピリピリとした緊張感に支配されます。
はっきり言えば不均等でギクシャクしたリズム。『sola』ではそのリズム自体が制御できない感情に翻弄されるキャラクタの姿を表現していると言えるのではないでしょうか。
ちょっと休憩。ED曲も紹介しましょう。Ceuiで『mellow melody』。
http://stage6.divx.com/High-Def-MOE/video/1189410/Sola-ED-1280x720
mellow melody

mellow melody

今期のアニソンではぶっちぎりで大好きな曲です。今も聴きながら書いています。
ED見て思い出しましたが、「光」の印象が強い作品ですよね。カーテンの隙間から差し込む光、カメラのレンズ越しに眺める青空の光、闇の中から覗き込む光……。物語の多くを占める夜の「闇」は肉体を隠し、物語の精神的な側面を強調します。それに対して光は、ありのままの世界の美しさを見せてくれる――。両者の葛藤はストーリィの本質にも繋がります。つまり『sola』とは光と闇のドラマである、と言えるのではないでしょうか。
というわけで『sola』が面白いと思うのです。キャラクタも魅力的かつエキセントリックだし。とりあえず見て感想を書いてみんなで幸せになれば良いんじゃないでしょうか。