『星の海のアムリ』に関する雑感その2

待ちに待ったアニメの第2巻。どうしてこんなに面白い作品が話題になっていないのでしょうね?不思議ふしぎ。概要については第1巻を取り上げた際に書いたので、そちらを参照のこと。
2008-06-18 - tukinohaの絶対ブログ領域

星の海のアムリ 2 [DVD]

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ストーリィについては最終第3巻が出た後で触れるとして、今回は設定について少しだけ。
この作品における3人の主人公は「アダプター」と呼ばれる特殊な体質の持ち主であると同時に、それぞれが何らかのアレルギィを持っています。何でも弾いてしまう反発アレルギィや勝手に遠ざかる逃避アレルギィ、怖いものをすり抜ける透過アレルギィ。そして身につける衣服は自分の細胞から作り出した「スキン」という特注品、と彼女たちは徹底して他人に触れることの出来ない、彼女たち自身の中で完結した存在として描かれてきました。それが前回、そして今回の挿話でも繰り返しキスシーンが描かれたことからも分かるように、例外として同じマイノリティであるアダプター同士であれば繋がることが出来る、という可能性が示されます(非常に適当な設定だと思いましたが)。
こうして「彼女」は「彼女たち」へとその存在領域を広げたわけですが、しかしそれは同時に、「彼女たち」と「その他多数」の間に線を引くことでもあるんですよね。普通の人たちと同じように生きることの出来なかったアムリが、宇宙に出て同じように普通じゃない人と出会い、それだけを希望とするのであれば、大多数の「普通の人たち」はアムリにとってどのような意味を持つのでしょうか?第3巻で示されるのは、その答えなんじゃないかな、と僕は想像しています。というか、第3巻はガンダム(正確には逆シャア)です。

映像表現に話を絞ると、個人的には第1巻のほうが面白いかな、と思うのですが、それでも見所は非常に多かったように思われます。表情は相変わらず豊かで、CGIだからといって綺麗な顔ばかりでもありません。光の表現なんかはさすがと言うか。今回はそれに加えて、レイアウトに凝ったものが多いという印象を受けました。背景の描き方も独自というわけではないのですが、CGIで映えるものが多かったなぁ、と。

また、今回の主人公である鈴の内面を描いたシーンはクレヨン画のタッチで描かれており、そこは第1巻冒頭に出てきたアムリの絵日記と共通していますが、作業工程が非常に気になるところ。絵日記の場面ではクレヨンの質感を出すために色々加工されていましたが、今回はどうなのかな……。