貧乏姉妹物語

「私たちは、とっても幸せです!」

築40年、風呂なし1Kのボロアパートに住んでいる山田きょう・あす姉妹。母はあすが生まれた年に他界。父はギャンブルで借金を作り蒸発。そんな姉妹が、自分が1人きりではないこと、自分たちが2人きりではないことを、すれ違いを重ねながら確認していくお話です。

貧乏姉妹物語 5 [DVD]

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はっきり言って展開の読みやすさは異常。お話の半分も終わらないうちに、オチも含めて先の展開が全て読めてしまうくらいの王道を走っています。しかし、王道というのはやはり強い。僕は、展開が読めているにも関わらず最終回では少々涙ぐんでしまいました。
主役の姉妹が貧乏だということ以外は悪人のいないユートピア的な世界だと見せかけて、本当にユートピア的な世界なのですが、OPなどで頻繁に登場する家族の集合写真にこの物語唯一の「毒」を感じます。幸せだった頃の家族。真っ黒に塗りつぶされた父の顔。ああ、この姉妹は父を許していないのだな。そんなごく当たり前の人間的な感情が、物語に「リアリティ」というエッセンスを与えているような気がします。
最大の見所は姉・きょうを演じる坂本真綾、妹・あすを演じる金田朋子の双方の素晴らしい演技でしょう。感情豊かな表情と声で、知らず知らずのうちにキャラクタに感情移入してしまう。キャラクタにとっても声優にとっても、これ以上ないくらいの適材適所だったと断言できます。
全10話とやや短めなのもキュートです。