2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

機能としての政治・文学

少し前に『日本SF精神史』という本を読んだのですが、その中に、尾崎行雄や加藤弘之のような教科書に名前の載っている有名な政治家・啓蒙思想家が明治時代はSF小説家だった、という話が書いてありました。別に読者を楽しませるのが目的なのではなく、小…

『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』についての雑感

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 1【完全生産限定版】 [Blu-ray]出版社/メーカー: アニプレックス発売日: 2010/03/24メディア: Blu-ray購入: 2人 クリック: 222回この商品を含むブログ (85件) を見る神戸守監督作品ときいて、『エルフェンリート』が好きで好きでしかたな…

倉田百三『愛と認識との出発』(1921年)―社会と人間の発見

愛と認識との出発 (岩波文庫)作者: 倉田百三出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/10/16メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 13回この商品を含むブログ (11件) を見る 例えば大野の黎明に真白い花のぱッと目覚めて咲いたように、私らが初めて因襲と伝説とか…

東京都の条例問題に端を発する表現規制に関する議論が活発に行われていますが、2年前に『School Days』の最終回が放送を自粛した際の「こんなグロい作品は自粛して当然」みたいな論調はどこに行ってしまったのだろう、エロはいいけどグロは駄目なのか、それ…

『アトラク=ナクア』についての雑感

アトラク=ナクア 廉価版出版社/メーカー: アリスソフト発売日: 2000/09/14メディア: CD-ROM購入: 11人 クリック: 48回この商品を含むブログ (27件) を見る 黄色と、黒と、白と、赤。 毒々しい斑の情景を織り成しに、絹のような女が人海に住まう。 女は何尺も…

専門家とアマチュア

1. 最近『長谷川如是閑集』を読んでいるのだけど、在野思想家である如是閑の「アマチュアであること」に対する考えが伺える、ちょっと面白い文章があった。第8巻の月報から引用。執筆者は本田創造。 それからしばらくして、私はまた如是閑に会いに行った。…

『最果てのイマ』論(補遺)―作家の亡霊の行方、あるいは対話の効用について

一連の『イマ』論は再編集のうえでthen-d氏企画のシナリオライタ論集に寄稿することになりそうなのですが、正直に言うと、その企画を半年ほど前に聞いたときは「いま作家論をやる意義があるのか?」と思いました。ロラン・バルトが「作者の死」を宣言してか…

『最果てのイマ』論(5)―異質性という絆

最果てのイマ出版社/メーカー: ザウス【純米】メディア: CD-ROM購入: 4人 クリック: 172回この商品を含むブログ (42件) を見る(承前) 「私」は傷つきやすく、他者とのコミュニケーションの主体として成立しようとした瞬間に、ほころび始めてしまう。私にとっ…