『極上生徒会』が萌えアニメじゃないってマジですか?

アニメを見ている最中は「うわーなにこれ面白いな」と思っていたのに、いざ感想を書く段階になると褒めるべきポイントが思いつかず、いつのまにか辛口の評価になっていた、というのはよくある話。
自分用に以前書いたアニメ感想を今日になって読み返していたのですが、『極上生徒会』に対する評価がめちゃくちゃ辛かったんですね。嘘つくなよ、深夜1時半にテレビの前で正座して見ていたのはどこのどいつだ、と。
あのころの僕は萌えアニメを楽しみつつも、その楽しさを語るべき言葉を持たなかったのだなぁ、とほほえましくもあり、全削除したくもあり、中間を取って全部書き直すことにしました(中間?)。

極上生徒会 Vol.7 [DVD]

極上生徒会 Vol.7 [DVD]

「私立宮神学園には、教職者よりも強い権限を持つ、美しき乙女達がいる。
宮神学園大権限保有生徒会。略して−」

新しく極上生徒会に加わった「蘭堂りの」と、勝手に話し出す腹話術の人形「プッチャン」。物語にははこの1人と1体を中心として、個性的(?)な生徒会メンバーの繰り広げるありえなさそうな日常の姿が描かれています。
分類すれば「ハイテンションコメディ」と言ったところ。キャラクタ造形が萌えアニメ風で、良くも悪くも現代的な作品であると思います。
ところが、脚本の黒田洋介氏は公式サイトのスタッフコラムでこんなことを書いていました。

極上生徒会」って、多分、美少女モノじゃないような気がします。
萌え要素もないかもしれない。でも「少女」が登場して「楽しさ」や「笑い」があって、たまに「ホロリ」としちゃう。
言うなれば、普通の「少女モノ」なのです。

Wikipediaの記述にも「脱「萌え」のバラエティが本作のコンセプト」とありますが、「どこが?」というのが正直な感想です。「萌え」の定義自体が曖昧なので何とも言いづらいところですが、少なくとも僕は普通の萌えアニメとして見ていたし、その見方を疑うこともしませんでした。
しかし、あえて「萌えアニメ」ではない点を探すならば、それはキャラクタに与えられた役割が流動的だという点に求められるのでしょう。話によってボケとツッコミが入れ代わっていくことが可能となる、キャラクタに与えられた引き出しの多さが特徴的です。
一例を挙げてみましょう。主人公の「蘭堂りの」はいつも右手に腹話術の人形「プッチャン」をはめています。「プッチャン」には手にはめたものの意思とは関係なく話しだすという、ちょっとオカルトじみた設定があるのですが、基本的にはこの「プッチャン」がツッコミ役です。しかし、「プッチャン」がボケ始めるとキャラクタに与えられる役割が180度転換し、「プッチャン」以外の全員がツッコミ役となります。
このようなキャラクタ属性の流動性、「プッチャン」をキーとする変化のスムーズさというのが、「こいつはこういうやつだ」とキャラクタ造形のされることが多い萌えアニメの中で異色を放っています。
ちなみに、脚本が黒田洋介氏だってことを、この記事を書くまで完全に忘れていました。『MADLAX』や『無限のリヴァイアス』と同じ人か……なるほどなるほど。
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