長谷川哲也『ナポレオン 覇道進撃』

現在連載されている歴史を題材とした漫画のなかで一番面白いのは、長谷川哲也の『ナポレオン』ではないかと思う今日この頃。途中で一度タイトルが変わっているのですが、通して21冊、連載期間は10年に及びます。徐々に話の進むペースが速くなっているので、あと5年くらいで完結するのではないでしょうか。
本作に描かれるナポレオン・ポナパルトですが、これがナポレオン像のスタンダードになるんじゃないかというくらい妙な説得力があります。「アウステルリッツの戦い」の直前に兵士を鼓舞してまわり、兵隊を慈しむような視線を向けながら「みんないいやつだ。明日お前たちの何割かが死ぬ。残念だ」と独白するナポレオン。何割かが死ぬ(使い捨てる)ことは当然なのです。
最近はナポレオンが完璧すぎて話の中心になりにくく、周囲の(ナポレオンの)元帥たちを中心に話が展開しているような感もあります。アウステルリッツに勝利し、ヨーロッパの覇者に近づいたフランス帝国。戦線も拡大し元帥たちの出番も増えていくわけですが、彼らがどう描かれるのか。また、ロシア遠征での敗退からワーテルローでの最後の戦いに続く没落期をどう描くのか。これから益々楽しみな漫画です。


そういえば『サガフロンティア2』で「サウスマウンドトップの戦い」という戦争が描かれるのですが、これって明らかにワーテルローが元ネタですよね?>識者