京都国立博物館「狩野山楽・山雪展」に行ってきました

公式http://sanraku-sansetsu.jp/
結論:見たら本当に絶対感動するよ!もし感動しなかったら木の下に埋めて貰っても構わないよ


以下、補足。
近世の絵画史とは要するに「狩野派とその仲間たち」の歴史であって、少数の例外を除くほとんどの絵師たちは狩野派に入門したり、狩野派の作品を模写するところからキャリアを出発させているわけです。その狩野派についてですが、よく名前が出てくるのが初代と二代目の正信・元信(室町時代)、元信の孫の永徳(安土桃山)、永徳の孫の探幽(江戸)あたり。もともと狩野派室町幕府御用絵師として京都に拠点を置いていたのですが、探幽以降、当時の政治の中心である江戸へと拠点を移すことになります(江戸狩野の成立)。その一方で京都に残って活動を続けた狩野派を京狩野と呼び、その初代が永徳の弟子である狩野山楽(永徳と血縁関係はない)、2代目が山楽の娘婿である狩野山雪です。展覧会の主役はこの2人。
狩野派の中でも特に人気が高いのは狩野永徳で、6年前に同じ京都国立博物館で「狩野永徳展」が開かれたときは、入場2時間待ちが普通でした(それでも行きましたけど)。その永徳の弟子で、彼の豪壮華麗な画風をもっともよく受け継いでいるのが狩野山楽、そして永徳・山楽の画面構成力を突き詰めていったのが狩野山雪です。こう言えば展覧会は入場4時間待ちくらいでもおかしくないのですが、実際にはだいたいいつ行っても待たずに入れるようなので、超お得です。
学芸員の山楽・山雪に対する思い入れも相当なもので、展示の解説に「夢のように美しい障壁画」なんて書かれている。私もそう思いましたが。
山雪の代表作「老梅図襖」も普段は海の向こうの美術館にあるので、今回は実物を見られる貴重なチャンス。
http://www.salvastyle.info/menu_japanese/view.cgi?file=sansetsu_plum00&picture=%98V%94~%90%7D%89%A6&person=%8E%EB%96%EC%8ER%90%E1&comment&back=sansetsu
画面狭しと水平、垂直に動く枝や岩の形。ギョッとさせられるような構図ですね。ヌメッとした幹の質感と、それとは対照的な花の鮮やかさ。なんとも奇妙な作品です。
とはいえこんな作品ばかりではなく、ユーティリティープレイヤー集団であるところの狩野派らしく、「勇壮な」龍虎図、「かわいい」動物画なんかもあります。
本当に最高の展覧会でした。過去数年でベストかも。京都近郊の人は這ってでも行きましょう。