『高杉さん家のおべんとう』

高杉さん家のおべんとう 1

高杉さん家のおべんとう 1

高杉さん家のおべんとう 2 (MFコミックス)

高杉さん家のおべんとう 2 (MFコミックス)

主人公が31歳の地理学者・オーバードクターというあたりに好感を抱いたので購入。ところが第1巻のラストで早々に就職が決まってしまう。作中ではさんざん「就職が遅れている」と言われていますが、普通に早い方だと思いますよ……。
そんな話はともかく、三十路男が中学生美少女を引き取って共同生活を始めるというシチュエーション、『動物のお医者さん』的な大学ネタ、暖かみのあるタッチ、どれも良かったと思います。基本的には毎日のお弁当作りをとおして心を通わせるという話のくり返しですが、あれですね、自分がお弁当を「作ってもらう」側だったころのことを思い出して、結構ぐさっとくるものがありました。お盆は実家に帰ろうと思いますです。
ところで主人公が地理学で身につけた調査(フィールドワーク)の技術を、日常のなかで実践しようとして、そのたびに空回ってしまうという話が何度か出てきます(少女の生活を「参与観察」しようとして警察に捕まったり)。人類学者はよくそういう話をしているようですが、「参与観察」と「田舎に泊まろう」はどう違うのか。「文系学者」ゆえの鈍さ、というのはあるんでしょうね。自戒、というわけではありませんが、少しそんなことを考えました。