今日は曇りのち雨。お昼前におきて大学へ行き、青空文庫の『R.U.R』を印刷し、共同研究室で読んでいました。コーヒー片手に1時間ちょっとで読了。昨日の『山椒魚戦争』とは作者が同じですが、ファシズム期に書かれた政治小説風味の『山椒魚戦争』と比べれば、『R.U.R』はキリスト教的というか寓話的な印象を受けました。物語の構造は一緒なんですけどね。『R.U.R』では、ロボットの普及によって人間は子どもを生まなくなり、逆にロボットによって滅ぼされてしまう。しかし子どもを生む手段を持たないロボットもまた、人間と同じように滅んでしまう。『山椒魚戦争』でも、人間は国家間の争いから人間自身を滅ぼしてしまう。しかし、人間のあとに栄えた山椒魚も人間と同じように国家を生み出し、同じように滅んでしまう。この「繰り返し」「驕れる平家も久しからず」的な構造は何なんでしょうね。

チャベックを読み終えたあとは、WHITE-LIPSの楽曲を聴きながらレポートの資料読み。レポートに関しては何とも言えない感じなのですが(黄信号)、良い曲を聴いたというだけで何かを成し遂げたような気分になります。『ゴールドバッハの恋愛予想』辺りが最高。最初に「好きか嫌いか 二択でいうなら とても大嫌い」と、いきなり全否定から始まり、最後に「だけど素直になれない そんな自分も嫌いよ ホント大嫌い」とツンデレが高じて自分自身まで否定してしまう、まさに究極のツンデレソング。これがWHITE-LIPSの甘い声で歌われるのですから、これを聞いてるときの姿は人に見せられない……。まあ、絶対に見せませんけど。
家に帰ってからは大島渚監督の『御法度』を観ました。そこそこ面白かったですけど、エンタメにも徹しきれず、斬新さにも乏しい、少し中途半端な作品だっかな、と。衆道がモチーフの映画ですが、主役の加納惣三郎役の松田龍平は、「美少年」というには違和感があります(格好いいとは思うのだけどね)。もっと酷いのは沖田総司役の人で、終盤の長台詞のシーンは観ていられませんでした。土方歳三ビートたけし、山崎蒸のトミーズ雅はさすがの安定感。シナリオに関しては『羅生門』的な要素をばっさり切り捨てたほうが主題が明確になってよかったと思います。