総選挙雑感

昨夜は久々にアニメ以外のテレビ番組を見ました。選挙報道。民主党が大勝しましたが、現時点で言えることは、凡庸な意見ですが、中曽根内閣以来の構造改革路線の帰結として今回の結果があった、ということくらいでしょうか。小泉純一郎の「自民党をぶっ壊す」とは実に的確な予言だったということですね。もう少し正確に言えば、ぶっ壊されたのは自民党だけでなく、多くの利益団体と結びついた「従来の」利益分配型政治そのものであると言えるでしょう。構造改革により諸々の利益団体が力を弱め、同時に労働環境の流動化により、「従来の」分配法式では利益を得られず、「税金を納めても損するだけ」と感じる人々が無党派層を中心に増えたこと。それに上手く対応できなかった自民が敗れ、教育や社会福祉、労働、基地問題に至るまで幅広い個別的「サービス」の供給を約束した民主が勝利した、という感じではないでしょうか。
ある意味では(国民ひとりにつきひとつの政府を究極とする)私的政府の傾向、別の言い方をすれば政府のサービス業化の傾向が強まったのではないかと思います。ポピュリズム化している、と言っても良いでしょう。そもそもの話として、民主制は非民主的なもの(政党やその他の中間団体)によって支えられているというパラドックスがあって、それらの弱体化(というか民主化)によってポピュリズム化が進むのはある意味当然ではあります。そこで必要なことは、単純にポピュリズム化を批判することではなく(それは反動)、民主化によって同時に多様化した国民のニーズを多様なまま受けとめる、新しい利益分配の仕組みであるといえるでしょう。そのためには官僚制の一定の改革も必要になるわけで、それがどこまで実行されるかに民主党の今後がかかっている、と思います。
身も蓋もない言い方をすると、普通の国民にとっては、一部の国士様が思っているほどイデオロギィや国家の繁栄は重要なものではない、ということですね。それでいいんじゃないかと思いますけど。