『沙耶の唄』に関する雑感

困った。すごくエロい。

沙耶の唄

沙耶の唄

エロゲがエロいというのは大変結構なことなんですが、それをエロいと感じる自分の業の深さが何というか。

何もかも、僕と沙耶だけの問題なんだ。いまさら世間体なんて気にする柄でもあるまい。

主人公にこんなことを言わせていますが、そう、確かにその通り。抱きしめた美少女が単なる幻想の塊であったとしても、それを哀れむことに大した意味はありません。
ただ、それをエロゲでやるのは、とても皮肉。

なんと邪な、おぞましい沙耶。
人は彼女を恐怖するだろう。忌み嫌うことだろう。そんな沙耶の邪悪さが、いま僕は愛おしくてたまらない。
沙耶が瑶にした仕打ちの残酷さ。その邪悪さのなんと人間的なことか。
姿形がどうあろうと、その魂の形がなんと僕らの間近にあることか。

予防線はいくつも貼ってあります。ヒロインたちの「本当の」姿は徹底して描写しない。神の視点から主人公と沙耶、双方の内面を描写することで、主人公として物語に戻ったときに「沙耶はどうしてああいう行動をとったのか」と(好意的に)推測させている。あるいはより厳密に「神の視点」など存在しないという立場に立てば、「主人公から見た沙耶」が主人公視点における絶対的な存在だ、と考えることも可能。
しかし、結局は主人公がそうであるように、視覚が想像力に与える影響の大きさに愕然とするか、あるいは「想像できる人間だけが、想像しない自由を持っているのだ」と考えるか、その辺が妥当なところでしょうか。


ちなみに、僕はこの作品が初ニトロ+でした。沙耶の正体とか、最後のオチとか、結構早い段階で予想できたのですが、そんなことは関係なくエロ面白かったです。次は『ファントム』でもやろうかな……。
あと、エロシーンでもきちんと喋る男性主人公っているんだなぁ、と感心しました。みんな男の喘ぎ声なんて聞きたくないんでしょ?と思っていましたが、何事にも例外はあるものですね(当たり障りのないことしか話してませんが)。