雑記9/1

平井正穂『イギリス名詩選』を読了。

イギリス名詩選 (岩波文庫)

イギリス名詩選 (岩波文庫)

ルネサンス期のスペンサーから現代のエリオット、ブランデンまで有名どころの詩を100作品ざっくりと紹介。対訳形式となっていて、左頁に原文、右頁に日本語訳が載せられています。注も充実しているので非常にお得な感じ。
キリスト教圏の文学を読む上で、僕たちにとっての障害になるものとは何でしょうか?聖書からの引用、三位一体の隠喩、原罪などといった信仰に対する考え方がまずあります。けれども、それは教会の中でだけ意識するようなものではなくて、もっと広く、西洋人の感受性を直接的に規定するものであると言えるでしょう。
平井氏も「はしがき」で以下のように書いています。

たとえば、“love”とか“time”とか“nature”といった言葉を、われわれは単純に愛とか時間とか自然という日本語におきかえて読んでゆくが(−そして、それはやむをえないことではあるが)、それらの言葉は、イギリスの、そして西欧の、社会史・精神史の結晶といっていいものである。その意味で、たとえば“nature”は必ずしも直ちに「自然」ではない。

こう言われるとドキッとしますね。僕はキーツの「夜鳴鶯の賦」という詩が好きで、何回も声に出して読んだのですが、夜鳴鶯の声を知らず、鳥というものの象徴的な捉え方について西洋人の感受性を持たない僕には、作者の意図を受け取ることは出来ていないのかもしれません。また、しばしば詩のモチーフとして現われる「素朴な人間」も、“nature”に対するイギリス人の考え方を知らなければ単純に見えてしまう。注って大事ですね……。
その点、平井氏の仕事は素晴らしかったです。最初の一冊としてオススメ。

天気は曇り。(試験に落ちなければ)もうすぐ自動車学校を卒業できるので、次の週末くらいには京都に帰れそうです。