『School Days』−共感を求めない主人公
- 出版社/メーカー: エイベックス・ピクチャーズ
- 発売日: 2007/09/26
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ただ、過去にも主人公が叩かれる作品はいくつもありましたが、それらの作品と『School Days』とでは主人公のあり方が決定的に異なるように思われます。
『君が望む永遠』の鳴海孝之にしろ、『世界ノ全テ』の宮本浩にしろ、ヘタレと呼ばれながらも実によく悩むキャラクタでしたね。悩んでる暇があったら行動しろよ、というのが彼らの欠点でしたが、本作の主人公:伊藤誠はその正反対。本能の赴くまま手を出し、感情がすぐ顔に出て、深く考えず余計なことを言い、結果自滅……。君はもうちょっと悩みなさい、といったところでしょうか。
古いタイプのヘタレ主人公たちは悩むこと=モノローグによって主人公と視聴者(プレイヤ・読者)との距離を縮めようとしてきましたが、『School Days』にはそれがない。というか、そもそも伊藤誠に感情移入させよう、という気が全くないように見えます。
ゲーム原作の作品なのでそれに沿って話を進めますが、主人公=プレイヤの分身、という単純な公式はとっくの昔に成り立たなくなり、あくまでひとりのキャラクタとして見る傾向が強くなっていると言えるでしょう(当たり前ですが)。この作品はその傾向が顕著に出たものではないかな、と。最近群像劇形式の作品も多いですしね(アニメ・ゲーム・ラノベなどなど問わず)。風刺・アイロニィ小説の主人公も同じく感情移入を求めませんが、エロゲのプレイヤ層にもそういった形式を受け入れる素養が備わってきた、ということでしょうか(適当)。
ところでクレジットを見ていると「プロデューサー:伊藤誠」とあるのですが(偶然主人公と同じ名前)、これが『涼宮ハルヒの憂鬱』風に「超プロデューサー:伊藤誠」だったら面白いのに、と考えてはすぐ忘れ……