『この青空に約束を― 〜ようこそつぐみ寮へ〜』はキャベツを越えられるか

「お願い、棄権して。あんたひとりで棄権するのが嫌なら、私も棄権する。そんな体調じゃ勝負にならないでしょ……今日のところは延期にしといてあげるから」
「何甘えたこと言ってんだ!だから全国大会の本番で、力を出せずに負けるんだよ!」
「あんた……私と仲直りするために勝負を申し込んだんじゃ……」
「こうでもしなきゃ、あんたが何でも先延ばしにして、逃げるからだ。俺たちの仲間になることも、クラスに溶け込むことも、そして、寮から出ることだって……」
「そうなんだ……出てってやる。二度とあんなところに戻るもんか。ついでにあんたも追い出してやる」

舞台はかつて大企業の存在により賑わっていた離島。しかし、その大企業の撤退によって、主人公の通う学園の生徒数も急速に減っていくことに。
島の高台にある「つぐみ寮」も1年後に閉鎖されることが決定していました。そこに住む、主人公とヒロインたち。つぐみ寮が閉鎖されれば別れることになる彼らにとっては、友情も愛情も全ては時間制限つきでしかありません。その中で何を思い、何を考えるのか。作品の見どころはそのような点にあるのだろうと思います。
なんて書くと感動的なお話のようにも見えますが、実際には色々な意味で危機的状況にある作品であると言えるでしょう。
作画が危ういというのもありますが、それ以上にヒロイン6人をひとり2話で描き、最終話をプラスして全13話というシナリオ構成にはちょっと理解しがたいものがあります。アニメでやる意味がまったくない。
ひとつひとつの話に目を移しても、原作の内容を断片的に取り出し繋ぎ合わせただけで、結果として意味不明かつリアリティ皆無なものとなっています。なんでマラソン大会の前日に徹夜で追試受けてるんだよ!とか。アニメはアニメ、原作は原作と割り切って大胆に再構成したほうが良かったのではないでしょうか。
とはいえ、まだ序盤ですので生暖かく見守ることにしましょう。頑張れこんにゃく!キャベツに負けるな!(切実)
最後にOP曲を紹介。KAORI『この青空に約束を