『sola』−もう「誰か久弥の行方を知らないか?」とは言わせない!

「凄いでしょ。何百年も生きてきて、本物の青空の下に、一度も立ったことがないの。
あの光を、どこまでも広がる空間を、透き通る青を知らないの。
だからあの時、君が空を撮るって言ってたから……」

原案・久弥直樹にキャラクタデザイン・七尾奈留という素敵すぎるタッグによって作られた『sola』ですが、現時点では前評判通り、あるいはそれ以上のクオリティを見せ付けています。
物語の軸となるのは夜にしか外に出られない少女。少女は青空を見ることが出来ない、だから憧れる。その憧れを満たそうとする主人公。このような「欠如」をバネにしたストーリィ展開は『Kanon』とも共通しているのかもしれません。あとヒロインたちのとんでもないボケっぷりもそうですね。しかし単に「久弥らしい」だけではなく、今のところは過去の因縁だとか思い出的な要素に頼っていないので、未来指向の新境地を開くのではと期待しているのですが、さて、今後はどうなることやら。
七尾奈留のキャラクタデザインは相変わらず秀逸。人物そのもの、というよりは服装のセンスに見るべきところが多いのではないかと思います。ファンタジィでもなく、現実でもない、そんな境界を漂うセンスですね。キャラクタデザインと人物造形が一種の共犯関係にあることも要注目です。
あと、ちょっとした遊びの要素が楽しい。ヒロインの好物は「トマトしるこ」という謎の飲み物……って、それ何て『AIR』?「どろり濃厚」かよ!やっぱり麻枝さんのことは意識しているのだなぁ、と妙に納得してしまいました。
どう見てもローゼンメイデンなシーンが出てくるのは、たぶん制作会社が同じだからでしょう。パロディそれ自体は珍しくありませんが、いかにも真面目そうな感じでさりげなく滑り込ませるところが面白いですね。
最後にOP曲を紹介。結城アイラcolorless wind

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