『DARKER THAN BLACK -黒の契約者-』−サスペンスの精髄

「契約者は人間じゃない。人の皮を被った殺人機械だ」
「……わかってる」
「リスクを最小限に抑えるために、目撃者は必ず殺す。やつらは嘘つきだ。裏切り者だ」

物語は組織のエージェント・黒(ヘイ)の登場によって幕を開けます。圧倒的に強く、残酷に敵を倒す黒。すると突然、舞台は平和な街並みへと移ることに。
しかし、そんな平和な街もやがて硝煙で汚れた世界へと変貌していきます。黒の存在、壊れゆく街、その2つを繋ぐ鍵は宙吊りにされたまま、視聴者は息苦しさを感じつつ作品世界へと入っていくことになるのです。
ああ、サスペンスだなぁと思わせる作品。
あくまで暫定的な意見ですが、僕がこの作品を高く評価する最大の要因というのは「喋り過ぎないこと」なんですね。映画でも同じなんですが、日本人がサスペンスやスパイ物を作ろうとすると、なぜか主人公に自分の心情、葛藤をべらべらと喋らせる傾向にあります。それがどうしようもなく嘘っぽく感じられて、ちょっと引いてしまう。だからこの作品のように静かなサスペンスを見ると、それだけで嬉しくなってしまうのです。
主人公が何を考えているのかわからない。迷う。苦しい。とまどう。そんな閉塞感こそがサスペンスにとって最も重要なのではないでしょうか。久々にサスペンスらしい作品を見て気分が良いですね。ぜひ最後までこの調子で行ってほしいと思います。
最後にOP曲を紹介。abingdon boys school『HOWLING』