見えないものをデザインする

デザインの目的が「豊かさの実現」であるということは第1回で述べたとおりですが、「豊かさ」の定義が何であるにせよ、それらはカタチがなく、数量化できないものであることがほとんどです。ウェブデザインにおいても同様で、最終的に求めるものにカタチはありません。しかし、私たちが扱うことが出来るのはカタチのあるものだけであることも事実です。
つまり、デザインとは、カタチを通してカタチのないものを表現する行為であると定義することが出来るでしょう。
カタチのないものは無限にありますが(なにせカタチがないんだから)、今回はその中から、「伝統」と「愛着」の2つを表現するデザインについて書いてみます。


みなさんは自分の家の「家紋」は知っていますか?僕は知りません。シンプルなカタチの中に歴史情報が込められているという点で、家紋は日本を代表する「伝統」を感じさせるデザインだといえるでしょう。実はルイ・ヴィトンのモチーフも日本の家紋をモデルとしています。
ただ、家紋は変化を繰り返し現在の形に落ち着いたものです。
(参考⇒http://www.harimaya.com/kamon/)このことから、変わらないことが「伝統」のデザインではないということがわかります。他にもコカ・コーラのロゴも伝統を感じさせるデザインですが、あれも大きく分けて2度変化しています。
(参考⇒http://www.ne.jp/asahi/com/koyama/coke/index.html)
まとめると、大枠において変化しないことは重要です。しかし、常に機能面や細部においては変化を続けること。これが伝統を感じさせるデザインではないでしょうか。


ほとんどのブログがそうだと思うのですが、自分のブログを最も多く見るのは自分自身です。そして、自分のブログが一番好きなのも自分自身でしょう(逆に言えば、自分のブログが嫌いなら、それを好きな人はいない)。内容のいかんではなく、製作プロセスが愛着を生み出すことに重要な役割を果たしています。
それと、全容を把握しているということも愛着を持つために必要となります。長年使い続けた製品に愛着を持つのは、その機能を使いこなせているからではないでしょうか。
以上から見えてくる「愛着」を持てるデザインに必要なのは「双方向性」と「シンプルさ」であると言えるでしょう。


以上の2点から人気ブログを見直してみると面白いかもしれません。