CooRie『流れ星☆』

成恵の世界 OPテーマ - 流れ星☆

成恵の世界 OPテーマ - 流れ星☆


成恵の世界』OP曲。CooRieとは『D.C.〜ダ・カーポ〜』シリーズのED曲でおなじみのrinoによるセルフユニットのことです。
打ち込みメイン、いかにも機械的サウンドが所々に挟み込まれていますが、メロディラインを崩さないよう、感覚的には生の音。そのため、曲全体の印象としては非常に軽やかです。ヴォーカルのrinoも、決してインパクトのある声というわけではありませんが、後を引かない涼やかさが曲の軽快さを一層加速させているように思われます。
OP映像も非常にキュート。特にAメロの部分が面白いですね。転がるように笑ったり、星を追いかけたり。弾むように動く姿を見ているだけで楽しさが伝わってきます。ただ動くだけではなく、それを効果的に見せる方法を心得ているな、という感じ。

『最終試験くじら』−毎週土曜はくじらの日

超!アニメロ 最終試験くじら
CIRCUS HOMEPAGE 最終試験くじら
最終試験くじら - Wikipedia

くじらが空を飛んでいる不思議な街を舞台に繰り広げられるCIRCUSの不条理アドヴェンチャーを原作に、同メーカの『D.C.〜ダ・カーポ〜』と同じく宮崎なぎさ監督でアニメ化された、非常に変わった作品です。
動きが少ない、尺が短い(1話5分)、1話につき土曜日の深夜30分だけネット配信という形態を取っているため見ること自体が難しいという3重苦。この配信形態は視聴者にとってはあまりメリットがないですね。決まった時間に見なければいけないということならテレビ放送と変わりないし、むしろ、録画予約し辛い分だけ不便になっているような……。
以前、minoriが『ef - the first tale.』のデモムービーをYoutubeにuploadして「引用する場合はこれを使ってください」とやっていましたが、ネット配信するならこれくらいやってほしいものです。ところで『ef』の続編は(以下略)。
宮崎なぎさ監督については先述したアニメ版『D.C.〜ダ・カーポ〜』を通して注目するようになったのですが、ひとつのシーンについて時間をかけて描くことに特徴があります。『くじら』に至っては、何と1話でワンシーンしか描かない。いつも、何かしら予想外のことをやってくれる監督さんですよね……。という冗談はともかく、適役であると思います。
第2話までの範囲では
・ほぼ静止した状態のまま視点を頻繁に切り替えるモンタージュの多用されていること。
・自然音を強調して逆に静けさを印象付ける手法が用いられていること。
・オブジェ(くじら、路面の模様など)が背景のアクセントとして効果的に用いられていること。
以上の辺りが気になりました。どれも『D.C.〜ダ・カーポ〜』から一貫して宮崎なぎさ監督作品に見られる要素ですね。あと春香かわいいよ春香。

シナリオ構成では
・「なぜそこにいるのか」が省略されていること(起承転結の起を飛ばした感じ)。
・次の話への「引き」がないこと。
などが特徴的。そのため「1話完結」という印象が非常に強いです。
現時点ではキャラクタ紹介に徹していますが、連続性のある物語を紡いでいく際にどのような手法をとるのか、今後の展開に注目したいと思います。
ああ、でも『ディアノイア』がないのはすごく残念。EDは確かに良い曲なんですけどね……。

日露戦争後の都市問題・その1

毎週恒例の[歴史]ですが、今回から都市史に入っていきます。初回ということで、まずは都市史の近代史的位置づけから。
近代都市の研究というのは最近の流行でもありますが、80年代ごろから活発に行われだした、割と若い研究分野です(若いから流行っている、ということかも)。それだけに研究成果の蓄積にも偏りがあって、「東京」か「大阪」を扱った研究が圧倒的に多い、というのが現状です。産業化に伴って農村から大量に人が流入し、貧民街が生まれ、そういった場所に住む人々も含めて「都市化」されていく現象。多くの都市史が扱ってきたのは、そういった大都市に固有の矛盾と、その矛盾が隠蔽されていく過程であったと言えるでしょう。
ただ、東京や大阪の都市化を説明する論理が、別の都市にも適用できるとは限りません。
僕自身の研究分野は「大正時代の京都」なのですが(本当はもっと狭いのですが説明すると長いので略)、京都のような中堅都市に東京や大阪のような大都市を説明する際のロジックを持ち込もうとすると、やはり無理が出てくるわけです。言うまでもなく都市化の速度というのはバラバラで、大阪に農村の住民が流れ込んで新旧の住民で軋轢が生まれる一方、京都の農民は大阪の方に行ってしまうので目立った変化が起こらない、ということもある。理論の射程距離について、とりわけ慎重にならなくてはいけない分野です。
とはいえ、全国的に都市のあり方が日露戦争を境に変化し、それが国政レベルでの政策決定に影響を与えていたことも事実です。例えば、普通選挙制への移行を可能にした要因のひとつとして、税収のうち地租の占める割合が低下し、代わって水道・ガス・電気など国家による企業的経営からの収入の割合が急上昇したことが挙げられます。
つまり、都市の財政は一部の大地主ではなく、インフラを利用する一般市民によって支えられるという構図が生まれ、市民の政治参加に対して正当性を与えたのです。
都市化によるこういった影響を睨みつつ「市民」の動きを主体的なものとして捉えていく予定ですが、続きは次回。