修士論文は無事提出できました。いろいろ「やってしまった感」があるのですが、過去をなかったことには出来ないので、受け入れて強くるしかないですよね。明日はきっと今日よりも良い日になるよ(美談にしてしまえ感)。
提出後も雑用に忙殺されていたのですが、ようやく暇になってきました。そこで、本屋で見かけた『イカの哲学』をタイトル買い。波多野一郎という哲学者が45年前に出した「イカの哲学」に、人類学者(でいいのだろうか)の中沢新一が解説を加えていくという構成。中沢氏の解説は、厳密でもなければ波多野氏のテクストに忠実でもないのですが、部分部分で面白いことを書いています。
戦争と生殖のあいだには、個人として成り立っている自己のあり方を破って種の連続性へと繋がっていくという共通点があり、原始社会の戦争が「婚姻」による和平で終わるのもそのためだ、という話。おそらくこの話を発展させていけば、一見すると非合理的な習慣が実は共同体間での交換活動を促すための合理性を持っているのだという、レヴィ=ストロース的な話になるのでしょう。限定された戦争は人間の交換を促し、共同体内で自閉しないための合理的な活動なのだ、というような。むろん、これも波多野氏のテクストとは関係のない読み方です。