地平線上の月が大きく描かれる理由


『ef』の第11話で、千尋の背後の月が異常に大きく描かれているのを見て、思わず「月でかすぎ!」と叫んでしまったのですが、絵画表現としては非常に典型的なもので、地平線近くの月が天頂のそれよりも大きく見える現象(月の錯視)と無関係ではないようです。
この現象を公式化すると、
「見かけの距離が遠いほど、見かけの大きさは大きくなる」
ということ。人間の認識する夜空をひとつのプラネタリウムに例えると、その心理的な形は丸いドームではなく、水平方向に長い、扁平な形をしています。地平線は遠いけれど、天頂はそれほど高くない。これを先の公式に当てはめると、地平線近くの月は天頂の月よりも遠くに見える分、大きく見えるということになります。また、天頂に見えていた月が、その見かけの大きさを変えないまま地平線近くに移動すると、周囲の風景との対比でより大きく見えるようになります。
そういった理由から、構図の関係もあり地平線近くに配置される絵画上の月は非常に大きく描かれることが多いのだとか。もちろん「大きく描かないと目立たない」というのが一番大きな理由なのですが。