僕の考える『この青空に約束を― 〜ようこそつぐみ寮へ〜』のダメなところ

最終回まで見たので感想を。
ゲーム原作のアニメとしては非常に類型的であったと思います。ただ、類型的なだけにジャンル固有の問題点が表に出てきてしまったというのが僕の評価です。
問題点としてはとりあえず「時間感覚が希薄」ということが挙げられるかと思います。ぱっと見ただけでは各エピソードの前後関係すらわからない、つながりを欠いた構成になっていること。そのため、せっかく1年後には離れ離れになってしまう「時間制限つきの友情」という魅力的な設定を持ちながら、それをほとんど活かすことが出来なかったように感じられました。
まあ、「約束の日」というやっかいな最終回が存在する以上、つながりを欠いた構成になるのもある程度は仕方なかったのでしょう。全員で仲良く寮を出て行く。誰かひとりだけを特別扱いしてはいけない。一貫したストーリィを組み立てることにはある種の困難さが付きまとう題材ではあります。しかし、いくらなんでも断片的過ぎ。
もうちょっと具体的に言えば、「今そこにいない人」への言及を増やすだけでも印象は随分違ったでしょう。例えば藤村静というキャラクタ。彼女はストーリィの都合上、エピソードによっては主人公の側にいないことがあり、それが時系列を暗示しているわけですが、作中では誰一人彼女がそこにいないことに言及していないので、彼女が最初からいないのとほとんど変わりはありません。仮に6人のエピソードが全てパラレルワールドの話だったとして、それでどのような問題が生まれるだろう?と考えてみると、この作品の問題点が浮き彫りになると思います。
じゃあエピソード単体としてはどうなの?という話になるわけですが、ゲームでやれば4、5時間かかる内容を40分程度に詰め込んでいるのですから、デッドコピィの誹りは免れ得ないでしょう。
それと、来月発売されるDVDの収録方法も非常にせこい。1・2話、3・4話という風に2話で1つのエピソードを構成しているにも関わらず、DVD1巻では1話しか収録されていないという構成(その後の巻では2話収録)。ということは、どの巻も話の途中で「次の巻をお楽しみに!」となるわけで……。
うーん。貶してばっかり。
もちろん良かった点もあります。作画は話を進めるごとに良くなっていったという印象(前半はちょっとアレでしたが)。重要なシーンでは比較的安定していましたね。
そして、問題の根本的な原因でもある「約束の日」というエンディング。結局誰とも結ばれない、という、下手をするとバットエンディングとも捉えられかねない内容を爽やかに描ききったことは素直に評価したいと思います。第一、新しかった。僕は新しいものが好きです。