Venus Versus Virus

「スミレの考えてること、わかるわよ。昔と同じに戻りたい、平和な世界で暮らしたい。わかるわよ、そういうの。私も昔、憧れたもの」
「ルチアさん?」
「でも、今のスミレは、昔のスミレとは違う。視力を持って、その上バーサーク化も……。
いつか時を迎えれば体は元に戻るかも。でも、それは今じゃない。今のあなたである以上、この世界は平和な昔と同じに見えて、まるで違うもの。
はっきりと言ってあげる。いい、スミレ。あなたはもう、元の世界には戻れないの……」

Venus Versus Virus 1 [DVD]

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人には見えない魔人と、魔人を狩る退治屋のルチア、そして魔人を見ることの出来る目を持っているために魔人に狙われる少女・スミレの物語。
この作品を無理にカテゴライズすればアクション作品に入るのでしょうが、明らかに見所はアクションではありません。身体的な部分はともかく、心情的には普通の女の子が異常な状況でどう考えるのか。そんな心理描写が見所になると思います。
ただ、最近のアニメにはほとんど「異常な人間」が出てこないので、「普通の女の子が異常な状況」ってめちゃくちゃ普通じゃないの?という指摘はアリかと。社会に「異常なものを異常なまま許容しておく」力がなくなったのか、それとも最近の流行なのか……。大抵の作品では、どんなキャラクタにも異常なままではいさせない、最後には何らかの説明をつけて、僕たちが理解できるところまでその人物を引きずり下ろしてしまう、そんな構造になっているように感じますね。
閑話休題
木村真一郎監督作品なのですが、この人は原作から超然としているというか、どんな作品でも丸みを帯びたやわらかいものに仕上げてしまう人という印象を僕は持っています。『まほらば』では原作がそのイメージに近いためかほとんど原作そのままでしたが、『つよきす』ではほとんどど改変。良くも悪くも、はっきりした作風を持った監督さんではないでしょうか。
なお、野川さくらも出ていますので、さくにゃんファン(僕とか僕とか、あと僕)は必見です。
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