イノセント・ヴィーナス

「教えろよ。あいつら一体、何者なんだ?」
「知らない」
「隠すなよ。知らないなら、何で一緒にくっついてんだよ」
「何でって……守ってくれると、思ったから……」

舞台は2035年の日本。世界規模の大災害の後、支配階級は豊かな経済特区に住み、それ以外の人々はスラムで生活するという、貧富の差が大きな社会が訪れていました。
物語は、主人公の葛城丈と相棒の鶴沢仁が登戸沙那という少女を連れ出すシーンから始まります。彼らを追う軍隊、特殊部隊。彼らはなぜ逃げているのか。なぜ沙那は追われているのか。謎を秘めたまま、物語は陰謀の度合いを深めていくことになります。
ブレインズ・ベース製作のオリジナルアニメ。全12話。

イノセント・ヴィーナス 3 [DVD]

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ストーリィの骨格は「お姫様を守るナイト」そのままなのですが、そこに一捻り加えられています。その一捻りが新鮮で、ストーリィに古臭さはほとんど感じませんでした。
見所としては、まずは仁と沙那との会話シーンが挙げられるでしょう。ハードなアクションが多い中で、わずかに挟まれる2人の落ち着いた会話がすごく良い。優しい兄と無邪気な妹、という感じなのですが、徐々にその関係が変化していく。その辺の心理描写も面白いのではないでしょうか。
個人的には仁というキャラクタが興味深かったですね。彼の真意がどこにあったのか、見終えた今でも全てはわからない。非常にミステリアスなキャラクタだと言えるでしょう。あとは沙那。沙那かわいいよ沙那。思わず上に出ている商品紹介も沙那が目立つやつを択んでしまいました。ロリ成分が最近足りていない方は必見の作品です。
以上のようにかなり面白い作品なのですが、あえて欠点を挙げるなら、全12話という短かさですね。最終回はちょっとドタバタした印象。それでも、クライマックスは後味がすごく良かったです。「足りないもの」を探させない、いかにも「完結した!」という感じの終わり方だと思います。
クライマックスで沙那がこう言いました。
「またいつか、会えるよね!」
再会の約束を交わすことは、今日が終わっていくことを暗示しています。でも、寂しくはない。この作品に出会えたことと同じく、素敵な経験ではないでしょうか。
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