銀盤カレイドスコープ
「これは魔法の砂時計なんだよ、タズサ」
「はあ?」
「この砂が全部落ちる時間は2分50秒だ。その間世界は、お前だけのものになる。何をしようと自由だ!」
「砂時計の砂が落ちる間、世界は私たちのもの……」
「私たち?」
フィギュアスケーター・桜野タズサ16歳。ある日、彼女は転んで頭を打った拍子にカナダ人の少年の幽霊に憑りつかれ、幽霊との奇妙な同居生活を送ることに。なにそれ。
そんなわけでタズサは幽霊とラブコメを展開しつつ、来るトリノオリンピック選考会にむけて練習に励むのでした。どうでもいいけどトリノオリンピック懐かしいですね。え、覚えてない?
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そのタズサに憑りついた少年・ピート他、キャラクタ造形に関しては特に不満はありません。決して機知に富んだ会話を聴かせてくれるというわけではありませんが、抑揚が効いて、非常にリアリティがある世界となっています。
そんなわけで人間関係を描いた部分は面白かったのですが、ただ、肝心のフィギュアスケートを描いた部分に関しては、これはちょっと酷いのではないでしょうか。プロの「凄さ」が全然伝わってこなかったです。
作画に関する部分には目を瞑るとしても、もっと素直にフィギュアスケートを描いて欲しかった。「バスケットボール楽しい?」という質問に「サッカーくらいたのしい」「勉強よりも楽しい」と答えるような。つまり、演技の良さをストレートに表現せず、何かに例えることでしか伝えないのはもったいないと思います。何だかイライラしますね。もっと滑っているところ見せろよ!みたいな。
繰り返しになりますが本当にもったいない作品です。ただ、鈴平ひろ氏の秀逸なキャラクタデザインなど良いところもたくさんあるので、丹念に面白さを汲み上げてほしいと思います。