フタコイ オルタナティブ

あのとき。
「キス、しようか」


俺たちは、キスなんかしなかった。
俺たちはもうあのころの俺たちじゃなかったし、俺の煙草くさいキスじゃ、あのころの俺たちに、申し訳ない気がしたから……

主人公・双葉恋太郎はさえない私立探偵。助手の白鐘沙羅・双樹姉妹と一緒に事件を解決しようとするのですが、巨大な陰謀に巻き込まれたりノスタルジックな思い出に浸っているうちにうやむやになってしまう、やっぱりさえない探偵物語です。そういえば「探偵の家に入り浸る2人の美女」って工藤優作の『探偵物語』と同じですね。そもそも主人公の親父が……

フタコイ オルタナティブ DVD-BOX Sara

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同じユーフォーテーブル製作の『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』に触発されて1年半ぶりに見てみました(なお『まなびストレート!』のレビューはこちら)。
原作のファンを中心に否定的な意見の多い作品なのですが、個人的には結構好きな部類に入ります。ただ、嫌いになる理由がわからないわけでもありません。終盤の展開はシリアスな場面に無理矢理ギャグを押し込んだように見えて、肝心なところで作画が崩壊するアニメくらい白けたのも確か。
ただ、前半6話までの展開は神がかっていると思います。ドタバタ的な日常風景から始まり、物語は一気にシリアスな展開へ。そして最後には再び日常へと帰っていく。そんなわけで『フタコイ』では日常の価値を確認することが目的となるのですが、それが非日常との対比だけでなされたわけではなく、繊細な描写とモノローグによって描かれた日常それ自体の楽しさによる効果が大きかったと思います。
個人的に1番好きな話は、DVD3巻に収録されている「エメラルドマウンテンハイ」。ストーリィの意外性、台詞のセンス、作品テーマとの関連性など、この作品のシリーズの良いところを全て持った傑作回です。つまみ食いするように見るならそこがオススメ。
EDの素晴らしさについても付け加えておきましょう。ユーフォーテーブルお馴染みのクレイアニメによるエンディングですが、それ以上にeufoniusの歌う『ふたりの時間』が大好きです。穏やかなメロディに載せて歌われる歌詞が、切なくて暖かくて最高。
好きすぎるのでそのうちeufoniusについて記事を書くかもしれません。ベストアルバム出ないかな……
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