AIR
わが子よ、よくお聞きなさい。これからあなたに話すことは、とても大切なこと、私たちがここから始める、親から子へと絶え間なく伝えていく、長い長い旅のお話なのですよ。
私たちは星の記憶を継いでゆく。この星で起こる、全ての事象を見聞き、母から子へと受け渡してゆく。星の記憶は永遠に幸せでなければなりません。憎しみや争いで空が覆い尽くされた時、この星は嘆き悲しみ、全ては無に帰すでしょう。
いつの日か滅びの時を迎えること、それも避けようのない結末。
けれど最後は、星の記憶を担う最後の子には、どうか幸せな結末を――
受容理論的に言えば「空所」だらけの物語で、どのようにして空所を想像力で穴埋めするかが鍵となる作品です。ただ、穴埋めした結果として正しい読み方が出来たのかを確認する手段なんてどこにもありませんし、首尾一貫性も得られそうにありません。
受容理論の可能性と限界を同時に味わえる、スリリングな作品ですね。
まあ、「面白かった!」、とでっかく書いておけば十分かな?
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こんなことは今更僕が言うまでもなく、大勢の論者によって指摘されていることです。しかし、それを一方的に非難するスタンスを、僕は取ろうと思いません。さらに言えば、この「父性の喪失」を現実社会での現象と結び付けて考えることには、慎重であるべきでしょう。
そもそも「父性」を辞書的に定義するならば、社会性・規範などを教育する主体としてポジティブに評価されているのに対し、神話に原型を持つ物語において、「父性」は乗り越える対象であったり(最悪殺されたり)、上から規範を押し付ける抑圧者であったりします。
「水夏」に出てくる父親たちなんて実に神話的。
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『世界ノ全テ』なんて作品も「物語における父性」を見られる代表的な作品ですね。
世界ノ全テ ~remind of you~ original sound track
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そんなわけで、「父性の喪失」を問題とするのならば、作品にとって「抑圧者」が必要とされているのかどうか、そして、父性が描かれていなくても、母性が描かれているのならば対比概念として父性が間接的に描かれているのではないか、という2つの視点が必要となります。
そろそろ力尽きそうなので続きはまた今度。
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