『GUNSLINGER GIRL(10)』
大抵の読者にとってもっとも感情移入の容易な、悩み迷い、それでも少女を手放せないでいるヒルシャーと、正当な愛の理由を有するトリエラとの因縁話に一応の決着が付けられる第10巻。次にトリエラが主役になるのは、おそらく彼女が死ぬときなんだろうなぁ、なんて考えると泣けてきます。
「この人と一緒に
必死に生きて
そして死のう」
あまりにも真っ当なラブストーリィで、この物語が少女を薬で洗脳して戦わせる悪趣味な話であることを忘れてしまいそうになります。もっとも、愛とは無意識のうちに選択するものであると決まっていて、「人が人を好きになる理由」について考えることは往々にして悪趣味になるわけですが……。
冒頭、たっぷり2ページ使ってトリエラが蝋燭に火をつける、この繊細な手触りが良いですね。蝋燭は長いのが1本、短いのが1本。長いほうがヒルシャーで、短いのがトリエラでしょうか。第9巻でアンジェリカを失ったマルコーは「たぶん、また別の義体の担当官をやるよ」と言っていましたが、ヒルシャーはそれも出来ないでしょう。
あと、トリエラはまだ気づいていないようですが、今回のエピソードを経て2人の関係はますます第5巻のピノッキオとクリスティアーノに似てきましたね。トリエラも戦って死ぬんだろうなぁ、次のクリスマス辺りで。鬱だSNOW。
- 作者: 相田裕
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2008/10/27
- メディア: コミック
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