フランク・ボーゼージ『武器よさらば』
久々に故・淀川長治氏の解説が聞きたくなってこんなの借りてきました。
- 出版社/メーカー: アイ・ヴィ・シー
- 発売日: 2003/05/25
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主演はゲイリー・クーパーとヘレン・ヘイズ。2人ともアメリカを代表する大スターですね。原作の発表が1929年、映画の公開が1932年ということで、大人気ベストセラーを勢いがある内に大スター起用で即映画化、というノリ。現代に例えるなら『世界の中心で以下略』のようなものでしょうか、なんて言うとボーゼージは怒るかな。
この映画は第6回アカデミー賞で撮影賞・録音賞を受賞していますが、確かにはっとするような構図もいくつか見受けられました。例えば主人公をヒロインが見舞いに来るシーン。ここでは負傷してベッドで寝ている主人公の視点で物語が進められるのですが、カメラが完全に主人公の視点と一体化して、主人公が映らないのです。ヒロインはそのままカメラとキス。
もうひとつ、ラストシーンも面白かったですね。ネタバレなので話の背景については書きませんが、主人公はベッドの上で眠るヒロインを抱き上げます。このとき、彼女を包むシーツが風になびいて、純白のドレスを着ているように見えるのです。そして主人公は「平和が……平和が……」とつぶやく。戦争の終わりを象徴するこのシーンの荘厳さは素晴らしかったと思います。
しかし、いかんせん画質が悪い!古い映画なので仕方ないことではありますが……。あとシナリオが端折り過ぎという印象も。開始20分くらいで主人公とヒロインがくっついてしまったのに、「気がついたら恋に落ちていたの」と言われても。うーん。80分映画ですからね。同じ内容を消化するのなら、あと40分くらい必要ではないかと思いました。