『MURDER PRINCESS』−プリンセスの王道物語

murderprincess.com
http://eg.nttpub.co.jp/news/20061227_10.html

MURDER PRINCESS DVD I

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クーデターの起きたフォーランド国の姫・アリタ。彼女は城から逃れ、森の中へとやってきます。そこで彼女は凄腕の賞金稼ぎであるファリスと出会ったのですが、どういうわけか2人の心と身体が入れ替わってしまいました(強引!)。その瞬間、姫なのにめちゃくちゃ強いという「虐殺姫」が誕生したのでした……。
というわけで3巻まで鑑賞しましたが、設定の奇抜さに比べれば意外なくらい普通のストーリィ。喧嘩して仲直りして、連れ去られて助けられて、ピンチになって突然強くなって、と「ジャンプ漫画かよ!」ってくらいの王道です。全否定するわけではありませんが、若干インパクトに欠けるのではないかな、と。
欠点としてはむしろ主人公がいい人過ぎる方が問題かもしれません。どこが「虐殺姫」なんだ、単なるツンデレ気味なお姉さんじゃないかというくらい普通。戦いの最中に暴走して凶暴になるという設定も一線は越えないので中途半端な感じです。
ただ、作品世界の雰囲気はすごく良いですね。白いドレスを染める返り血、幼女にナイフ、善と悪、真と偽、それら相反するものをごちゃ混ぜにした独特の世界観は十分に魅力的です。本来ならば後者の不在が前者の存在を保証するのですが(つまり「代補」の関係にある)、ここでは一体のものとして描かれている。そこに主体の境界を侵されるようなスリルを感じます。
あと、BGMがRPGのそれっぽい。雰囲気の忠実な描写に徹していて、音量も控えめ。うっかりすると聴き逃してしまいそうなものですが、実は面白い曲が揃っています。
何も考えず映像と音楽を楽しみたいという時にオススメ。アクションシーンも悪くなかったので、僕も完結まで付き合ってみようかと思います。
最後にOPを紹介。BACK-ONで『ヒカリサスホウ (FK Metal ver.)』