機動新世紀ガンダムX

数日前の『時事ドットコム』にこんな記事が掲載されました。
「ネット詐欺の女子中学生送検=「ガンダム売ります」とうそ」(記事は既にロスト)
というわけでこんなのを数年ぶりに見ました(意味がわからない人は「ガンダム、売るよ!」で検索してみよう!)。

機動新世紀ガンダムX 10 [DVD]

機動新世紀ガンダムX 10 [DVD]

AW15年。人類にとって大きな悲劇をもたらした第7次宇宙戦争終結後の世界を舞台として、ニュータイプの少女・ティファと、オールドタイプの少年・ガロードの戦いを描いた作品です。
単純な破壊力という点ではおそらくガンダム史上最強のMS「ガンダムX」の格好良さが見所でしょうか。従来の作品に比べると冒険活劇的な要素が多めになっていることは注目に値しますが、その分、大局的なレベルでの戦争の姿は中盤まで見えてきません。異色といえば異色かも。
ガンダムX』における戦争は物語の構成要素でしかありません。それは当たり前のことではなくて。物語の開始当初から戦争が行われていたり、「なぜ人は戦いを繰り返すのか」を追求した結果、必然的に戦争が起こったりする作品がガンダムではほとんどであることを考えると、その重要性はかなり低い部類に入ると思います。
で、戦争に代わって物語の主題となるのが「ガンダムとは」「ニュータイプとは」という、シリーズそのものへの問いかけでした。以下、作中から引用します。

「かつて、僕らは全ての価値観を失っていた。道を示すべき大人は沈黙し、平和と豊かさの中で、僕らは何かを求め続けていた。そんな世界で戦争が起きて、やがて僕が生まれた。僕になぜ力があったのか、それは僕自身にもわからない。人が言うように、時代が生んだ突然変異だったのかもしれない。だけど僕の力は、道を失った人々にとって新たな価値観となってしまった。それがニュータイプという言葉だった。僕の終わりと共に、ニュータイプという言葉も消えるべきだった。けれどもそれに囚われてしまった人々は、その次を求めてしまった」
―最終回『月はいつもそこにある』より―

15年前、僕たちはその戦争を体験した。ニュータイプという存在に触れた。そして大人になった今、僕たちはもう一度、それを見つめなおそう。次の世代へ、次の時代を託すためにも。
―最終回の予告より―

長々と引用しましたが、「ニュータイプ」をそのまま読めばニュータイプ論になり、「ガンダム」と読み替えるとガンダム論になるわけです。解釈は個々人にお任せします。
なかなか意欲的な作品だったと思うのですが、欠点としてアクションがやや大味であること(大量破壊兵器をもったガンダムだから仕方ないけど)、中盤がどうしようもないくらい地味であることが挙げられます。特に20〜30話が辛い。登場人物の成長やMSの乗り換えに丸1話費やす展開が10話以上続くのはどうなんだろ。みたいな。
その反面、1〜10話と30〜39話はかなり面白い。時間がなければそこだけ見れば……というのは言っちゃいけないことなんだけど(言ってるじゃん)。
ガンダムというものを考える上で重要な作品であることは間違いないので、1度見てみることをオススメします。明日は同様のテーマを持った『クロスボーンガンダム』を取り上げる予定。
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