アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女

全1話と非常に短い作品です。さくっと見られる、ポテトチップスみたいな作品だと思っていたのですが、いろいろな意味で裏切られましたね。
物語の舞台は巨大な塔「アル・トネリコ」を中心に、空中に島々が浮かぶ幻想世界「ソル・シエール」。そこには人間と「レーヴァテイル」という、歌うことで魔法を使える種族が住んでいました。塔から落ちてきた主人公の少年と、未熟なレーヴァテイルの少女。物語はこの2人を軸として進められます。
というわけで、中々奥行きのある設定。しかし、どれもこれも「さわりだけ」で、全然突っ込んでいきません。何でこんなにでかい塔があるの?とか、どうして空に島が浮かんでいるの?とか見ているうちにどんどん疑問が出てくるのですが、それに答えることは一切無く、ただ「そういう設定がありますよ」と匂わせるだけ。物語の終わらせ方だって中途半端もいいところであり、決して完成度の高いアニメとは言えません。
しかし、本編であるゲーム版の宣伝作品と見た場合、悔しいですが優れていると言えるでしょう。僕は割りと「お話としての上手さ」と「ビジネスとしての上手さ」を切り離して考えることが多いのですが、この作品を「すごく豪華な販促ビデオ」として見た場合、非常に上手くできています。特に設定の魅力、みたいなものを強調するやり方は上手いのではないでしょうか。
そうなると、きっちりお話としてまとめたものも見たくなるのが人情というものです。全1巻といわず、ゲームの内容をまとめてアニメ化してほしい作品ですね。