CLOTH ROAD

「……今のあなたは他のお客さんと同じ匂いがする……
……みんなから逃げて……全部をあきらめて……こんな女にたどりついた男の匂い……負け犬の匂いよ」
「!」
「ここで人生が決まるわ……私を取るかその服を取るか……選んでファーガス……」

R.O.D以来、倉田英之氏原作作品のファンなのですが、そのため、偶然書店で見かけたこの作品を手に取る機会に恵まれました。それから気づいたのですが、この漫画、表紙が超格好良い。引き込まれるような色彩と、ホログラム箔で描かれたタイトルの組み合わせが最高に決まっています。
これで650円は安い、と感じたので1・2巻をまとめて購入しました。

CLOTH ROAD 1 (ヤングジャンプコミックス)

CLOTH ROAD 1 (ヤングジャンプコミックス)

舞台は架空の世界、コンピュータは繊維の中に織り込まれ、服の中に仕込んだ複雑なギミックがモデルの意思ひとつで自由に動かせる、つまり、服がパワードスーツ化した世界です。
主人公・ファーガスは裏通りで賭け試合用の服を作る仕立屋さん。親方が倒れ、莫大な治療費のために途方にくれていたところ、彼と双子だという少女・ジェニファーがあらわれたことで物語は動き出すことに。ジェニファーと組んで賭け試合に出場し、賞金を獲得しようと目論見ます。
さて、この漫画は基本的に戦闘アクションが見せ場なのですが、それ以外の場面でもいちいち華があって良いですね。絵柄はデフォルト化された可愛らしいものから、どきっとするくらい艶のあるものまで振幅が激しいです。その使い分けが非常に上手いと思いました。
ただ、立ち絵に力を感じる一方で、アクションの最中に、今どうなっているのか良くわからなくなることも。これはもう、じっくりと、噛み砕くように読んで欲しいとしか言いようがありません。これはストーリーについても同じですけど。
ネクラなファーガスと、快活なジェニファー。この2人の掛け合いが実に楽しい。「これからどうなるんだろう?」とハラハラドキドキするような作品ではありませんが、絵と言葉の組み合わせから生まれる面白さを丹念に摘み取ることが出来る人にとっては、名作と呼べるのではないでしょうか。


ああもう、ジェニファー可愛いよジェニファー。萌え。